英字紙ウォッチング

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「中央銀行と決して戦うな」

 曇り。

 4月のインフレ率は上昇したが、アメリカのインフレ率は微温的である。消費支出も冷え込んでいる。

 米国の消費者物価は4月に上昇したが、Fedの掲げるインフレ目標を以前として相当下回ったままだ。消費者支出も冷え込んでいる。

 4月のPCE物価指数は1.5%上昇した。コアPCEは0.2%の上昇。事前の予想に沿った水準ではある。しかし、2%のFedの目標は下回っている。

 インフレ率がさえないのは、Fedが今年初めに金融政策をUターンさせ、パウウェル議長が物価が軟調なのは一時的要因であるとした理由の一つである。

 今週、Fedのクラリダ副議長は、もし今後公表される経済指標によってインフレ率の弱さが続くようだと確認できれば、もしくは見通しが悪い方向に向かっているようであれば、Fedが利下げに踏み切ることもありうると話した。

 投資家らは、Fedが今年1回の利下げではなく、2回ありうる方向に賭け始めている。

 あるエコノミストは、Fedにとってより在りうる緩和シナリオは、ビジネス界だけでなく、ウォールストリートの首脳陣の信認を傷つける貿易戦争の激化であろう、と話す。これはメキシコに対する関税引き上げ計画が明らかになり、そのリスクが高まったという。

 金曜日に発表されたデータが示すところによれば、4月の個人所得は0.5%と今年最大の伸び幅を示した。しかし、消費支出は0.3%の伸びにとどまった。

 https://www.ft.com/content/3ac65a36-839b-11e9-9935-ad75bb96c849

 債券市場は利下げをはやすが、Fedはそうした声に耳を傾けるつもりはないようだ。逆イールドやイールドの低下は政策担当者に、先制的な動きを迫っている。

 投資家が骨身にしみて知っているのは、「中央銀行と決して戦うな」という格言である。「債券市場を決して無視するな」という格言もある。

 今年の5月に入り、世界の国債市場の利回りが低下する勢いが加速している。これは米国と中国との間で貿易交渉が手詰まり状態に陥っているからだ。このことは、たとえばメキシコとの間で現在トランプ大統領が関税を課したように、債券利回りというレンズを通してみると、二国間の関係が世界経済やインフレ期待に対する悲観的な見通しを補強する材料になっている。

 特に顕著なのが、ドイツの10年国債利回りである。2016年に付けた、マイナス0.19%という最低記録を下回った。カナダやフランス、英国、スウェーデンなどでも最低記録を記録している。

 米国の国債市場に目を転じると、すべての利回りがFedが定める翌日物金利の中間値2.375%周辺をうろついている。

 そして今週、10年国債の利回りが3か月ものを下回った。この2つの利回りの関係は、今年3月後半にも同様なことが起きた。最新のエピソードが語るのは、市場のセンチメントが動揺していることである投資家やFed幹部に示すのは、経済が減速するリスクが米国だけにとどまわrないことだ。

 https://www.ft.com/content/d074019c-8390-11e9-9935-ad75bb96c849