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米長期国債、安定的な市中消化への懸念

 雨のち曇り。

 米国政府は大量の米国債を発行するが、そのことによって投資家の長期債への需要を試すことになる。米国政府は1.8兆ドルの国債を発行する。

 2021年に米国は市場に長期債を洪水のように発行する。ここで問題視されているのは、誰が、どのくらいの価格でこれらの長期債を購入するかだ。

 米財務省は大規模な歳出計画の資金調達のため、将来に向けて債券償還計画を詳細に練っている。Fedが大規模な債券買い取りを続けるが、それを考慮に入れた後も、1.8兆ドルの国債をたべつくすだろう。2020年は発行された国債の多くが短期債だった。2021年は対照的に長期債となるだろう。

 2021年はより高い成長とインフレが予想されている中、ストラテジストらは米国は長期債を投資家に購入してもらうため、より高い金利を提示せざるを得ないだろうとみている。すなわち、投資家の需要と国債の供給の間にギャップ、供給超過の恐れがあるというわけだ。

 需要を満たすには、ある程度の金利上昇は避けられないとJPモルガンの担当者は話す。

 米国債は他の種類の債券の主要なベンチマークとなっている。それは、米国債金利が上昇すれば、連鎖して幅広い債券の金利に影響するということだ。金利上昇は株式市場にとって主要なリスクとして認識されている。

 米国債の価格はその結果、下落した。10年国債金利は0.7%を下回っていたが、いまは1%をわずかに下回る水準である。

 ただ、借り入れ金利が劇的に上昇するリスクは低い。今週、トランプ大統領によって9000億ドルにおよぶ財政刺激策が承認され、財務省はその資金を得た。短期債の発行は来年減少することが予想される。

 しかし、投資家は長期債の供給過剰を懸念する。来年は成長とインフレの再開によって国債価格は低下しそうだからだ。ソシエテ・ジェネラルの担当者によると、来年の10年債の金利は1.5%まで上昇しうるという。

 国債金利の上昇予想が出ているのは、一部にはFed国債購入をこれ以上拡大しようとしないからだ。ウォールストリートのエコノミストらはFedに対し、債券買い取りの対象をより長期のものにシフトするよう求めている。

 海外投資家も一定程度の役割を果たすことになろうが、海外投資家の国債保有割合は35%程度で、過去20年間で最低水準だ。その多くはおそらく日本の投資家が購入する。

 1月のジョージア州上院議員選挙も、国債需給を振幅させそうだ。もし民主党が勝利し、上院の過半数を得るようになれば、より積極的な財政刺激策が登場しうる。

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