イランとアメリカ。衝突の危険性が再び高まっている。双方の自制が求められている。
戦争のドラムが再びなり始めている。アメリカの空母集団がペルシア湾に向かっている。B52爆撃機も加わる。国家安全保障補佐官のボルトン氏はアメリカやその同盟国に対する攻撃は、容赦のない攻撃を受けるだろう、と警告した。
一方テヘランにおいては、ロウハニ大統領が、イランはもはやアメリカと主要大国と署名した核開発プログラムの取引条件にもはや耐えられない、と述べた。イランはすでにゆっくりではあるが、着実に核兵器開発に動き出している。
4年ほど前にはアメリカもイランも、今とは異なった道のりを歩んでいた。オバマ大統領が手を差し伸べ、両者は歩み寄り、核兵器合意にたどり着いた。その結果、イランの核プログラムは10年以上も後退した。脅威とそれに対する脅威の応酬が止まることが期待された。
今日、強硬派が両者において優勢になっている。ボルトン氏や国務長官のポンペオ氏などは、経済的な圧力をかけることがイランの体制をぐらつかせ、核開発を止めるために爆撃も否定しない。
一方、テヘランでは、革命防衛隊はアメリカを信用していない。国内の引き締めを強化し、海外を非難している。双方とも戦争に至るリスクを取りたがる、強硬派に支配されている。
おそらく時期はあまりに遅く、核合意を守ることはもはやできない。イランは合意を守っていたが、アメリカにおける核合意の批判派は、この合意ではイランの核開発を防げないとしている。昨年、トランプ大統領はこの合意から離脱すると宣言した。その際、この合意は災厄であると述べた。
先週、アメリカはイラン製原油を購入し続けていた国への猶予期間を終わらせた。そして、イラン製金蔵製品の輸出に対しても制裁を科すことにした。イランはその結果、世界経済から切り離された。イランの通貨リアルは下落し、インフレが上昇。賃金は下落している。イラン経済は危機状態にある。
アメリカの好戦的な姿勢は、かえってイランの根性を燃え上がらせた。ロウハニ大統領は鷹のような声を上げている。アメリカが核合意から離脱した5月8日、ロウハニ氏は、イランは低濃縮ウランの在庫を増やすと宣言した。
https://www.economist.com/leaders/2019/05/11/the-brewing-conflict-between-america-and-iran