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ECBの戦い

 ECBは低インフレと戦う方法を検討している。ECBのドラギ総裁の後継者は、金融政策を変えるために、新たな武器を必要としている。

 ドラギ総裁は今年10月に、ECB総裁としての任期を終えようとしている。彼の関心は金融政策の手段に向けられている。

 ECBが今年3月に金融政策をより拡張的な報告に変更したことは、通常のビジネスの範囲以上の効果を持った。ECBの政策委員会は低いインフレ率を許容したことを意味しないとしつつ、GDPとインフレの見通しを下方修正した。

 こうした政策変更を受け、ECBは2019年央ではなく、2019年の年末まで政策金利を変更しないと述べた。このことは自動的に、あと6か月、償還期限のきた債券を再購入する約束を延長することを意味する。そして、政策委員会は同時に、TLTROと呼ばれるオペレーションを新しいもとに変えることも表明した。

 こうした手段はすべて、既存の金融政策手段である。しかし、それほど遠くない時期に、金融政策の手段が大きく変わるニュアンスも読み取ることができる。

 ECBは従来、銀行部門の短期の収益性は、中央銀行の関心事ではないとしてきた。しかし、ECBのマイナス金利政策やイールドカーブのフラット化によって、銀行の利益は左右されてきた。通常、政策委員会は、金融政策の刺激によって銀行は強い経済の恩恵を受けると説明し、こうした政策手段のマイナス影響が相殺されると説明してきた。

 しかし最近になって、ドラギ総裁をはじめとした政策委員から、金融政策によって銀行収益がダメージを受け、将来の金融緩和策の障害となりうるとの発言が出てきた。そこで、日本などのように、銀行の収益を保護するようなマイナス金利政策の仕組みを導入することが検討されている。

 すなわち準備預金金利を階層化するアイデアで、そのことにより、75億ユーロに上るマイナス金利チャージを半減させることができる。しかし、問題はそれで充分かどうかだ。

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