曇り。
ECB総裁となったラガルド氏が、総裁として最初の記者会見に臨んだ。
前任のドラギ総裁が敷いた超低金利の金融政策を引き継ぎ、政策金利の変更はしないことを決定した。ただ、経済の現状認識については、より強気のトーンをにじませた。
政策金利は変更せず、債券購入プログラムも継続することを決めた。これは事前の予想通りであるが、ラガルド氏はユーロ圏経済が長く続く、低金利と低成長率、低インフレの時代が長引くことに懸念を示した。
これらのダウンサイドリスクは、それほど顕著なものになっていない、とラガルド氏は述べた。
マイナス金利政策や2.6兆ユーロ以上に及ぶ債券購入プログラムを数年間続けているにも関わらず、ユーロ圏経済の成長は低迷したままである。さらに金融緩和を深堀できるのか、疑念も高まっている。
しかし、ユーロ圏経済が貿易戦争の打撃を受けるリスクを受けても安定しつつある兆候も出始めている。ラガルド発言はこうした展開を受け、楽観的が浮上している。政策が機能している証拠として、企業や家計に対する貸出が伸びていることを挙げた。
ECBの今年の経済パフォーマンスについての見通しは9月時点より若干上向きなものになっている。ユーロ圏のGDP成長率は1.2%成長だと見込んでいる。
しかし、ラガルド氏は来年もこの歴史的な低金利が続く準備をしている。ECBは長期の経済見通しについて、来年は1.1%成長、2021年と2022年は1.4%成長だとみている。
インフレ率は現在の1%から、2022年にかけて1.6%まで上昇すると見込む。しかし、これはECBが目標に設定している2パーセントには届かない。ラガルド氏は、方向は良いが目標には到達していない、と述べた。
ラガルド氏のデビュー戦に関する投資家やアナリストの評価は悪くない。減速傾向にあったユーロ圏の経済が底入れし、そのタイミングで就任したラガルド氏は幸運だとみる向きもある。
ECBの決定は、FOMCの決定ともほぼ重なるタイミングだった。両方の中央銀行ともグローバル経済が向かう方向に関する評価をしつつ、金融政策については一時休止の判断をした。
ラガルド氏は政治家に対し、より成長に親和的な政策を導入するよう求めた。
ラガルド氏は同時に、ECBの政策を戦略的に見直す計画も表明した。金融政策の効果を検証し、気候変動や不平等にどのように対処するかも評価する。来年1月からこの見直しを始め、来年末には終える。
ラガルド氏に課された難題は、中央銀行の経験や訓練がないままで、ドラギ総裁時代の最後の数カ月に深刻となった委員間の分断をかわし、コンセンサスを築くことだ。
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