英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

トランプ流介入主義

 晴れ。膝が痛む。今年はけがの1年だった。
 トランプ氏絡みのニュースである。インディアナ州に存在するある工場で、トランプ氏が工場の労働組合リーダーと口論したことが、労働組合幹部の間で警告として広まっている。幹部たちの間では、トランプ氏の公約を歓迎しているのだが。
 ある地方の労働問題にトランプ氏が介入したことは、きわめて異例のことだ。しかし、先週トランプ氏がこの工場で勝利を宣言するような記者会見を開き、労働組合幹部がトランプ氏が多くの雇用を救ったと大げさにツイッターで伝えたと非難したというエピソードは、労働組合幹部たちを用心深くさせている。トランプ氏と激しいやり取りをしたユニオンスチール幹部と家族のもとには、電話の脅迫が届いている。
 選挙期間中、主要な労働組合や指導者たちはクリントン氏を支持した。出口調査によると、労働組合の家計の43%がトランプ氏を支持し、クリントン氏より8%低いだけだった。
 幾人かの労働組合幹部は、貿易やインフラプロジェクトによる雇用創出といった問題にういて、トランプ氏と共通の地盤を見つけることができると希望を持っていた。
 しかし、このインディアナ州のエピソードとトランプ氏の新政権閣僚選び、とくに労働長官人事をみると、労働組合側から鋭い批判を呼ぶことになった。金曜日には、いくつかの労働組合幹部が新政権幹部に否定的なコメントが飛び出した。
 http://www.wsj.com/articles/donald-trumps-carrier-intervention-has-labor-leaders-wary-1481400984
 エコノミスト最新号より。トランプ氏が米国のビジネスルールをいかに変えようとしているのかを問いかけている。しかも、それはグッドニュースではないと。
 新大統領の就任式まで6週間となった。しかし、トランプ氏は米国の経済界に衝撃の波を引き起こしている。企業経営者や株主にとっては、トランプ氏の規制緩和や減税、インフラ投資といった公約はめまいがするような衝撃だろう。ブルーカラーの労働者にとっても、雇用を奪うのでなく、守るように動き出したことに大喜びだ。
 しかし、過去数週間、トランプ氏はアップルを、米国でiPhoneを製造していないとして叱りつけた。フォードに対してはリンカーンに生産を移せと説教し、ボーイングをどやしつけた。インディアナのエアコン部品の製造工場に乗り込み、800の雇用をメキシコに移すな、と介入した。この事件の後、米国人の6割がトランプ氏の行動を支持している。この力による介入は国民の支持を得ている。
 人気はあるが、問題含みである。一つは、彼の行動の背景に、混乱した重商主義的な考えがあることだ。二番目は戦術として、個々の企業を取り上げることが目標達成のうえで適切なのか、ということだ。米国の資本主義はルールの予測可能性があるから成り立っている。しかし、このアドホックなアプローチはトランプ大王を向いてビジネスをする風潮を生みかねない。
 http://www.economist.com/news/leaders/21711314-president-elect-has-new-approach-dealing-corporate-america-it-not-all-good