英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

トランプ、プーチンの共通点

 エコノミスト誌より。
 1933年1月のことだ。米国の詩人、エズラ・パウンドは、何ヶ月にもわたって拒まれたあと、とうとうローマでムッソリーニと会談する機会を得ることができた。パウンドの詩集をパラパラとめくりながら、そして、非常に若い英語教師から注意をそらしながら、ムッソリーニは礼儀正しく詩集をほめたたえた。このことによって詩人パウンドのムッソリーニ信仰は一層強まった。
 おそらくもっともキテレツな米国の大統領選において、プーチン大統領によるぶっきらぼうなコメントは、トランプ氏に対して同じような効果を及ぼすだろう。
 陰謀理論の季節がやってきた。インターネットの片隅では、ヒラリー・クリントン氏が、テロリストへの武器売却を阻止しようと、ベンガジを攻撃する可能性があると信じられている。トランプ氏のプーチン氏に対する態度の分析もスリル満点だ。しかし、彼の発言は細かく調べる必要がある。
 トランプ氏はよく、プーチン氏の強さとリーダーシップをオバマ氏のそれと比べる。その際、ロシアの人権記録の問題を無視している。
 最近、トランプ氏はもし選挙で勝利すれば、就任前にプーチン氏と会談すると述べた。トランプ氏の安全保障アドバイザーの一人は、これはレーガンっぽい手法だと述べた。一般論にとどまるならまだよいが、困ったことに、トランプ氏の発言は特定の、死活的に重要な問題に触れていることだ。たとえば、ロシアはウクライナに侵略していないと示唆するように。
 たとえば、NATOについて、トランプ氏は時代遅れのものだとしている。欧州による相互防衛の約束をトランプ氏はひっくり返すかもしれない。
 http://www.economist.com/news/united-states/21709293-what-explains-republican-nominees-fondness-russias-president-my-brilliant-friend