英字紙ウォッチング

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オルバン氏勝利の代償

 曇り。

 ハンガリーのオルバン首相が選挙で勝利した。オルバン氏の勝利は西側諸国にとって警告となるだろう。

 オルバン氏の勝利はモスクワ政府や北京政府、トランプ前米大統領に歓迎され、ブリュッセルキエフは失望した。

 日曜日に行われたハンガリーの議会選挙に先立ち、ゼレンスキー大統領はオルバン氏のことを「プーチン氏を大っぴらに支持する欧州で唯一の首脳だ」と述べた。オルバン氏はこの発言に即座に反応し、ゼレンスキー氏を反対者の1人であると決めつけた。

 選挙の勝利の夜のユーフォリアがあったにせよ。オルバン氏がゼレンスキー氏をあざけるさまは、グロテスクでもある。というのも、ロシアによる残虐で明快な戦争犯罪が起きた後のことだからだ。しかし、オルバン氏の言動は決して驚くことでもない。

 オルバン氏は過去にもプーチン氏のことをロシアを再び偉大な国にする男として称賛していた。彼はロシアのプーチン大統領とモスクワで陽気な会談をこなしている。これはウクライナ侵攻の直前のことだった。

 トランプ氏ももう一人のオルバンファンだ。今年のはじめ、米国の前大統領はハンガリーの首脳の再選を支持すると述べた。オルバン氏のことを力強いリーダーだとほめたたえた。

 オルバン氏は中国の習主席とも特別な関係を築き上げている。ハンガリーは中国製のコロナワクチンを最初に購入したEUの国でもある。オルバン氏は香港問題で中国を批判したEUの生命を拒否している。

 こうしたエピソードを考えると、なぜハンガリーの選挙が世界にとって重要かがわかろうというものだ。ハンガリーの人口は1000万人。EU全体の人口の2%に過ぎない。オルバン氏はすなわち、非自由主義的な民主主義の体現者でもあるのだ。

 週末の選挙は公正に行われたかのように見える。しかし、オルバン氏は10年間にわたり、政治システムを彼の好むように変えてきた。裁判所は封じ込められ、公務員は追放され、選挙システムはゲリマンダー化された。

 とりわけ影響が大きいのはメディアの自由度が殺されたことだ。

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