英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

オバマケアは失敗なのか

 クルーグマン教授。オバマケアについて言及している。
 オバマケアはローラーコースターに乗っているかのような運命をたどってきた。立法の際に成立するか否かのドラマがあった。立ち上げ当初にはウェブサイトの問題が発覚した。そして、いまや改革は落とし穴にはまっている。事前に予想されたよりも、計画がカバーするプレミアムは2割以上増えそうなのだ。
 これはどれほど問題なのか。
 オバマケアに反対する人々は、この計画は機能しないと主張してきた。しかし、その主張は誤っていることが再び判明した。悪いニュースは事実であるが、オバマケア改革が達成したものははっきりしている。そして、技術的にはこの問題は非常に簡単に解決できる。
 医療保険改革には2つの大きな目標があった。一つは、無保険者をカバーすること。もう一つは、ヘルスケアコストの伸びを全般的に抑制することだ。これはヘルスケアの専門家の間では、カーブを抑制する、という専門用語で呼ばれている。
 オバマケアの導入後、医療保険のない米国人の割合は歴史上最低水準まで減少した。一方、ヘルスケアコストは横ばいである。オバマケア法案が議会を通過後、民間の保険コストはそれ以前の10年間よりも半分のペースの伸びにとどまった。メディケアのコストは従前より5分の1の伸びにとどまる。
 医療コストは良好に推移しているようだが、プレミアムの上昇は何を意味しているのか。
 http://www.nytimes.com/2016/10/28/opinion/obamacare-hits-a-pothole.html?partner=rss&emc=rss&_r=1
 金融政策を正しく実行するには、情報や知識が適切に得られる必要がある。古くはハイエクが1945年に指摘した問題である。最適な経済計画に必要な情報は、多くの企業や家計に適切に配分される必要があるというものだ。これを金融政策に応用すると、フリードマンらは中央銀行の裁量に反対し、シンプルなルールによる金融政策が必要だと主張した。
 その後、限定的な裁量アプローチが登場した。すなわち、フレキシブルなインフレ目標におけるテイラールールが知識問題に最適であるという主張である。
 知識問題にとってもっとも大きなチャレンジは、リアルタイムでGDPギャップをどのように計測するかである。これには2つの技術的な問題がある。
 http://macromarketmusings.blogspot.jp/2016/10/the-knowledge-problem-in-monetary-policy.html