英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

カナダに学べ

 晴れ夕方から雨という変な天気。
 OPECの会合は、イラクとイランの生産に関する調整が暗礁に乗り上げた。
 http://www.wsj.com/articles/opec-deadlocks-over-iran-iraq-oil-production-1477684986
 エコノミストはカナダを取り上げている。西側諸国に対し、いくつかの教訓を残している。
 誰が西側世界における開放性のトーチを掲げているのだろうか。それは米国の次の大統領ではない。不平不満の多い共和党候補、ドナルド・トランプ氏はメキシコ国境に壁を築くべきだと述べた。貿易協定もずたずたに引き裂くという。ヒラリー・クリントン氏は11月8日のおそらく勝者であろうが、トランプ氏よりも移民に寛容だが、前任者による野心的な貿易協定を放棄すると述べている。
 英国はどうか。移民やグローバライゼーションを懸念しており、EU離脱を決めた。メルケル率いるドイツは移民に寛容だが、政治的な反発に苦しんでいる。フランスの極右ポピュリストのルペン氏は、来年のフランス大統領選の第一陣で勝利しそうだ。
 こういう人物が跋扈する政治の世界において、カナダは例外として目立っている。カナダは年間30万人の移民を受け入れている。それは人口の約1%に相当する。富裕国では例外的に高い。そして、この政策はおよそ20年も続いている。
 1年前に就任したトルドー首相は3万3000人のシリア難民受け入れを決めた。この数は米国よりも多い。保護主義的な雰囲気を跳ね返し、カナダは自由貿易主義的で有り続けている。EUとの貿易協定について、ベルギーの反対に遭っているが、トルドー首相は修正を図ろうと努力している。そして、おそらく西側諸国として初めて、ご落葉の麻薬を国家レベルで合法化する最初の国になりそうだ。
 チャールズ・ディケンズは1842年、アメリカを訪問して当惑したが、カナダに対しては安心を覚えた。現代カナダの社会的なセーフティネットアメリカのそれよりも強固である。
 多くのカナダの美徳はその歴史や地理的特性から生まれている。そして、それは簡単に輸出できるものではない。南部には米国という巨大な壁があり、移民は簡単に入ってこれない。カナダとの貿易の利点は、隣に米国という巨大市場が控えているからだ。
 こうした幸運があるのにも関わらず、カナダはポピュリズムに塩を送るようなストレスに悩まされてきた。製造業における雇用は減少し、所得は低迷、不平等も拡大している。そして、中間層も減少している。カナダ人はイスラムのテロを心配している。しかし、カナダが世界から閉ざすことはない。西側の他の国はこの例から何を学ぶべきなのだろうか。
 まずカナダは移民を歓迎するだけでなく、彼らを統合しようと努力してきた。2つめとして、財政緊縮策はよいことよりも悪いことが多いという価値だ。カナダは20年にわたり、財政を保守的に運営してきた。現在、経済の低迷に直面し、トルドー首相はインフラ投資を拡大することで、この流れを変えようとしている。IMFによると、この経済政策はまたたく間に広める価値があるという。
 カナダはけっして完全ではない。アメリカと比べて、貧しいし、生産的でもイノベーティブでもない。
 http://www.economist.com/news/leaders/21709305-it-uniquely-fortunate-many-waysbut-canada-still-holds-lessons-other-western