快晴。
ストックホルム・シンドローム。アメリカ人のスウェーデンに対する不満が高まっている。ブッシュ政権時代にイラク戦争に反対して、スウェーデン移住を果たした米国人の回顧録。
スウェーデンにやってきてまず気づいたのは、スウェーデンの大手新聞はジミー・カーターがノーベル平和賞を受賞するのに反対したことだ。というのも、彼はテロリズムの右派における支持者であるから、というものだ。
一方、イラク占領軍に対するテロは支持されると同じ新聞は何度も賞賛していた。
スーザン・ソンタグが1969年以降、スウェーデンを批判してから、この国(スウェーデン)はあまり変わっていなかった。自国が道徳的に優れているという強い確信が、スウェーデン氏を批判に対して極度にセンシティブにしている。
スポティファイは、もしスウェーデン政府が過度な規制とものすごく高額の税を課すのを改めなければ、スウェーデンから出て行くと脅している。
http://www.wsj.com/articles/stockholm-syndrome-1468008681
日本の個人消費が落ち続けている件。5月の家計消費をみると、サプライズな結果であった。図表のように、トレンドははっきりしている。実質家計消費は2014年に財政再建を進めて以降、はっきりと減少している。そして、その傾向は2016年も変わらない。2016年の家計消費の水準は2013年より6%ポイント下落している。
アベノミクスがうまくいかず、のたうち回っているのは、ミステリーでもなんでもない。それは、日銀による円安維持政策が難しいということではない。また、構造改革が失敗しているせいでもない。この点、私はラリー・サマーズのコメントに同意する。
日本がうまくいっていないのは、家計需要に対するマイナスのインパクトを与えるような政策をいくつも選択してきたせいだ。
アベノミクスの税制は、企業から家計へ課税対象をシフトさせてきた。法人税率は引き下げる一方、消費税は引き上げた。このことは、貯蓄過剰な法人セクターを優遇し、低貯蓄の家計により重い税の重荷を背負わせることを意味している。
円安も家計にはマイナス、企業部門にはプラスの影響を与えている。輸入食品やエネルギーは円安によってより高くなり、名目賃金が横ばいの中、家計の実質所得を低下させている。
http://blogs.cfr.org/setser/2016/07/07/meanwhile-in-japan-household-consumption-continues-to-fall/
そのサマーズの最近のコメントについて。内容は、金利が前例のないレベルまで低下していることについて。そして、そのことが意味するものについて。
米国の10年および30年の金利は水曜日にそれぞれ1・32%、2・1%をつけた。記録的な10年債金利の低下はドイツやフランス、スイスなどでも観察された。スイスでは50年債の金利が初めてマイナスとなった。
このような金利の低下は前例がない。今年はじめ、米国の10年債金利は2・27%だった。そして、その当時はFedが金融政策を引き締め始めれば、いずれ3パーセントに金利は上昇していくだろう、というのが一般的な見方であった。
市場は2019年までFedは金融をフルに引き締めすることはないと見通している。Fed幹部らが講演を行い、経済と金利の正常化についての楽観論を繰り返し述べているのにも関わらず、だ。
このことは私がここ数年間、何度も強調しているセキュラー・スタグネーションについての重要性を示している。
それはつまり、世界は需要不足の状態にあり、投資と貯蓄を完全雇用の状態で合致させるには、実質金利を非常に低くする必要があるということだ。そして、それはゼロ金利の制約下で達成しなければならない。
第一に、国によって違いはあるが、中立実質金利はゼロに近づいている。米国を考えてみても、成長はこの数年、比較的しっかりしているが、成長率は潜在成長率をわずかに上回る程度だ。ほかの国に至っては米国より悪い。構造問題や労働力人口が減少しているためだ。
2つめは、現代の中央銀行は不十分なインフレ率との戦いであるということだ。7割原油価格が上昇しているのにも関わらず、米国や欧州、日本において、インフレ率の予想は目標を下回っている。人々の期待をつなぎ止めるには、非常にタイトな市場とメカニズムの組み合わせを必要とする。
3番目に、見通せる将来、金利が非常に低いとされる世界では、債務の持続性に関する伝統的な思考は捨て去るべきだ。デロング教授と私が2012年に提示したように、拡張的な財政政策は今日満足できるものになる。
https://www.washingtonpost.com/news/wonk/wp/2016/07/06/larry-summers-interest-rates-are-at-inconceivable-levels-and-we-must-confront-what-that-means/
改めてであるが、サマーズのセキュラー・スタグネーション論をまとめたもの。
http://larrysummers.com/2015/11/20/low-real-rates-secular-stagnation-the-future-of-stabilization-policy/
これは、落ち込んだ経済における財政政策のあり方を論じたデロング・サマーズペーパー。
http://www.brookings.edu/~/media/Projects/BPEA/Spring%202012/2012a_DeLong.pdf