英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

利上げ論への懐疑

 Duy教授より。
 現在Fedが進めようとしている利上げへの執着は奇妙なものだと言わざるを得ない。利上げにこだわる理由は経済、なかんずく労働市場が過去2四半期、市場の予想よりも改善を続けているからだ。もし経済が完全雇用に近いか、それを上回っているのなら、いずれインフレ圧力が高まることになる。
 セントルイス連銀のブラード総裁の講演を見てみよう。総裁は、ほとんどすべての数字が、米国の労働市場完全雇用に近いことを示している、と述べた。雇用保険の請求件数が数十年ぶりの低水準であることや、非農業部門の雇用増加数が長期のトレンドを上回っていることをあげている。
 ボストン連銀のローゼングレン総裁の講演も引いている。総裁は雇用は危険水域に入っていると述べた。
 しかし、Duy教授からすれば、これら2つの見方は急ぎすぎであるという。
 http://economistsview.typepad.com/timduy/2016/05/curious.html
 サマーズ。
 次のリセッションに対し、我々はいかに対処すべきなのだろうか。この問いは月曜日にワシントンで開催されたブルッキングス・インスティテューション・ハミルトン・プロジェクトが主催するイベントのトピックスだった。私は現在の関心事に基づき、多くの論点を議論した。
第一に、私は「デマゴーグ・ドナルド」が選出される可能性が、米国の繁栄への脅威として議会の機能不全をもたらす可能性を論じた。辻褄の合わない予算や貿易政策を超えて、ドナルド・トランプはアルゼンチンや中国、ロシアで議論されているような種類の政治的リスクを初めて犯すだろう。ファシズムの台頭がマクロ経済政策を矮小化しようとしている。
第二に、2009年は1929年〜33年の再来であり、もう起こらないけれど、それは独りよがりである理由はないと私は警告した。下の図が示すように、現在の予想では、1929年〜40年の不況期のように、2007年〜18年の経済は悪いパフォーマンスを示しそうだ。政府債務の重荷を封じ込めるただ一つの最も重要な問題は、増大する国家安全保障や貧困対策、中間層の生活水準の引き上げが米国の経済成長を加速する。
第三に、私のセキュラー・スタグネーション論に従って、財政政策が安定化政策としてもっとも重要な政策であることを論じた。歴史的な証拠が示すのは、今後3年以内に公式に宣言されるリセッションの可能性がより高いということだ。
リセッションが到来したときに、Fedは通常実質金利を4〜5%ポイント引き下げる。しかし、次のリセッションがきても利下げの余地はないのだ。
 https://www.washingtonpost.com/news/wonk/wp/2016/05/24/larry-summers-what-you-need-to-know-about-the-next-recession-starring-donald-trump/?postshare=7891464095597582&tid=ss_tw