英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

イタリアン・ブルー

 最新のエコノミスト。アジア版と欧州版とで表紙が異なる。こちらは欧州版の記事。イタリア人の仕事、というタイトルだが、内容はイタリア人の憂鬱、とでもいうべき指摘であろう。
 イタリアの銀行セクターが欧州の次の危機の引き金を引くことになるのだろうか。
 世界中の投資家が極端にナーバスになっている。今週、10年国債金利は過去最低水準を記録した。50年のスイス国債はマイナス領域に到達した。英国の離脱決定後、英国自身がどこへいくのか未知の領域に入っている。英国ポンドは対ドルで31年ぶりの安値をつけたが、ようやく底入れした。いくつかの英国の不動産ファンドが償還を延期した。しかし、現在の不安はブレグジットだけでは説明できない。潜在的にはより危険であるのは、イタリアの銀行セクターの危機だ。
 イタリアは欧州で4番目に大きい経済圏である。しかし、その中でもっとも脆弱である。公的債務はGDPの135%。成人の失業率は高く、経済は何年も低迷している。経済の停滞とデフレが続き、イタリアの銀行は深いトラブルにある。不良債権は3600億ユーロに達する。それはGDPの5分の1に達する。銀行全体で引当処理しているのは、45%がせいぜいである。最悪いくつかの銀行が破綻する可能性があるのだ。
 投資家はすでに逃げ出している。イタリア最大手の銀行の株価は4月の半分に沈んでいる。この傾向はブレグジット後、加速した。直近の歳代の懸念は、シエナの銀行の健全性である。同行の不良債権処理をしようという試みは失敗に終わっている。また、金融改革が中途半端なせいで、欧州全体の規制とイタリアの国の規制がちぐはぐであることも危機に拍車をかけている。
 イタリアが早急に必要としているのは、大きく、大胆な銀行の不良債権処理だ。すなわち公的資金の注入である。しかし、政治的には不可能に近い。税金を投入する前に、債権者に負担を求めるベイルインの原則がそういう動きを妨げている。多くの国では銀行債権は機関投資家保有しているが、イタリアの場合、個人投資家保有している。昨年11月に小規模銀行に新ルールを適用したところ、ある個人投資家が自殺をはかった。
 ドイツの動きも鈍い。イタリアに寛大な措置を施すことは、ドイツにとって政治的にコストがかかる。というのも、来年総選挙を控えているからだ。
 もしベイルインルールが厳格にイタリアに適用されると、預金者の叫び声がイタリアの信任に影響を与え、五つ星運動に道を開くことになるだろう。五つ星運動は、イタリアの経済の混迷は単一通貨にあると主張している。
 イタリアでは、ユーロ圏に所属することによるメリットよりも、制約が強く意識されつつある。財政の制約は厳しく、自国通貨安による恩恵も得られない。そして、いまではベイルインルールという厳しい条件が課されている。もしイタリア人がユーロへの信任を失えば、単一通貨は生き残ることができないだろう。
 http://www.economist.com/news/leaders/21701756-italys-teetering-banks-will-be-europes-next-crisis-italian-job