英字紙ウォッチング

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ロムニー・ロス

 快晴。風もなく、よい天気である。
 米国大統領選挙の話題である。トランプ氏がとうとう共和党の大統領候補となる見通しとなった。
 ほとんどの人がドナルド・トランプ氏が大統領候補になると本気で考えていなかったときに、ニューヨークのこのビジネスマンは下院の前議長、ギングリッチ夫妻とアイオワ州で会ったことがある。マリオットホテルでの朝食のあいだ中、トランプ氏が45分間にわたって大統領選に出る経験についてたずねた。
 「会話の最後になって、彼が本気で考えていることがわかったよ」とギングリッチ氏は話す。
 しかし、2ヵ月後の2015年3月、4分の3の共和党有権者世論調査でトランプ氏をサポートすることを想像もできないと述べていた。彼はそれほど泡沫候補であったため、全米ライフル協会の会合で、人々はルイジアナ州のジンダル知事の話に耳を傾けた。
 ほとんどの共和党首脳は、トランプ氏が企業における乗っ取りと同じようなことを政治的に企てていることを気にも留めていなかった。火曜日のインディアナ州の勝利によって、トランプ氏は過去のマネジメントに満足しない株主の支持を得て、共和党をついに乗っ取ったのだ。
 2012年に苦い敗北を喫して以降、共和党のリーダーと草の根の支持者たちの間では、一般党員たちの怒りに対して、また移民問題に関して意見が食い違っていた。トランプ氏はそこに付け入るチャンスを見つけたのだ。共和党首脳や他の共和党候補者たちは、ほとんど一致してトランプ氏の力を見くびったのだ。
 トランプ氏のライバル候補たちは、彼の挑発的なキャンペーンは失敗するだろうと信じていた。多くのライバル候補はトランプ氏を攻撃することにためらいを見せた。
 トランプ氏による前例のないキャンペーンスタイルに、共和党員は脆弱であることが証明された。
 だが、トランプ氏の目的は、共和党を変えることではない。彼自身がそのように発言している。
 トランプ氏が出馬を決めた根っこにある経験は、2012年にマサチューセッツロムニー州知事が敗れたことがある。これは共和党を急降下させる敗北だった。移民政策について、長い党内議論を続けた結果、保守派は効果的ではないとみなされた。
 「共和党の候補者はもはや共和党有権者の言っていることを聞こうとしなくなった」と、ある共和党幹部は述べる。いわば、ロムニー・ロスの経験が、共和党をそのように変えたのだ。
 トランプ氏は2013年のスピーチで不法移民を攻撃することを始めた。トランプ氏の移民に対する激しい攻撃は、伝統的な共和党の正統からの決別を意味した。彼は自由貿易も攻撃の俎上に載せた。そして、外交的にも介入主義に反対する論陣を張った。
 http://www.wsj.com/articles/how-trump-wonand-how-the-gop-let-him-1462390833