晴れ。
エコノミストより。「フリーマネー」の誘惑を政府は認識すべきだ、という警告。予算上の制約がどこかへ飛んでいってしまい、機会とともに危険も増している。
政府は2007年からの金融危機の際に経済政策を考え直すことに失敗し、時間や資源を浪費したと時折言われることがある。誰も、同じようなことが今回のコロナ危機で起きているということはできない。何せ数カ月前までは、このような事態は想像すらできなかったのであるから。
現在、経済学の分野で結果として明白に起きている変化は、人世代に一度起きるような変化である。1970年代にケインジアンがミルトン・フリードマンのマネタリズムに道を譲ったような変化である。パンデミックは新時代の到来を告げている。
それはすなわち、大規模な政府の経済や金融市場への介入がもたらす巨大リスクをいかに封じ込めるか、という課題である。
この新しい傾向は4つの特徴を持っている。1つは、びっくりするほどの政府の借り入れである。そして、その借り入れにはリミットがないという考えが広まっている。IMFの試算によると、今年富裕国は全体のGDPの17%相当の借り入れを起こす見通しであるという。そして、これに加え、米国やEUはさらなる予算案を予定している。
2つ目の特徴は中央銀行による資金供給である。3つ目は資産配分における政府の役割がますます増大していることだ。クレジットクランチを避けるため、中央銀行は社債の買い入れを増やしている。
そして、4つ目の特徴は低インフレであることだ。価格の上方圧力がないことは、中央銀行のバランスシート拡大圧力を一層増すことになる。そして、短期金利も当面引き上げなくてよいことになる。低インフレはそのことによって、公的債務を心配しなくてよい根本的な理由となる。
しかし、新しい時代の経済学は長期トレンドの到達点であるともいえる。
経済学はいつの時代も新たなチャレンジに直面してきた。1930年代は不況を防ぐこと。1970年代はスタグフレーションである。今日の政策担当者の任務は、経済が政治に乗っ取られることを防ぎつつ、金融危機や景気循環をマネージするフレームワークづくりである。それは、テクノクラートに財政支出の力を委任することかもしれないし、中央銀行がマイナス金利を深く実現できるように金融システムを変えることかもしれない。
賭けられたものは高い。それに失敗するということは、これだけ無料の金が出回ることが高インフレにつながることを意味している。
https://www.economist.com/leaders/2020/07/23/governments-must-beware-the-lure-of-free-money