英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ケインズ陣営の分裂

 曇り空。
 大統領選のこぼれ話。ネバダ州の共和党は、4年前の大騒ぎの再来を恐れている。資金不足から、投票用紙を数える作業の遅れが懸念されている。民主党と異なり、共和党関係者はより厳しい夜を覚悟している。
 http://www.wsj.com/articles/gop-braces-for-nevada-caucus-mayhem-on-tuesday-1456061400
 Gavyn Daviesより。「ケインズ陣営の分裂」と題した論考である。ガリレオ時代の論争にたとえ、米国の金融政策をめぐる深い亀裂を皮肉っている。
 ポール・クルーグマン教授が1年前に指摘したように、米国の金融政策に関して、たいていのことには意見が一致するケインジアン陣営に鋭い対立が生じているという。
 この興味深い事象とは何かというと、エコノミストたちのよって立つ職業的な立場によって異なるというのだ。Fedの外で論じるエコノミストたち、たとえばサマーズ氏やクルーグマン、デロング教授たちは、比較的ハト派的考えを持っている。一方、中央銀行内部のエコノミストたち、イエレン議長をはじめ、フィッシャー副議長、ダドリーNY連銀総裁らは、よりタカ派的立場に立っている。
 これはガリレオ・ガリレイの「ダイアローグ」にたとえることができる。
 一つの考え方の相違は、フィリップスカーブの存在の有無だ。タカ派は存在しているといい、賃金インフレが生じ始めているとみる。それに対し、ハト派はフィリップスカーブの関係自体を疑い、あるとしても、それはフラットになっているとみる。
 ハト派は、ドル高が実質的に金融条件をタイトにさせていると主張し、タイト化を緩めるためにも、これ以上の利上げを行うべきでないと主張している。
 さらに、長期停滞にあるかどうかでも意見が分かれる。ハト派は、セキュラー・スタグネーション仮説はやや極端な主張であるとみる。金融危機後、経済は次第に均衡に戻りつつあると主張している。長期の均衡実質金利は、次第に通常レベルの1・5パーセント程度に復しつつある。それゆえ、名目のFFレートは3・5パーセントだという。
 http://blogs.ft.com/gavyndavies/2016/02/21/splits-in-the-keynesian-camp-a-galilean-dialogue/