英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

孤独な宰相

 雨。
 ニューヨークタイムズの「難民」と題するロングストーリー。第二次大戦後、6000万人もの人々が常に難民の境遇に追い込まれている。そのうちの半分は子どもだ。
 ストーリーは2枚の写真から始まる。ドイツとクルド難民。
 http://www.nytimes.com/2015/11/08/magazine/the-displaced-introduction.html?hp&action=click&pgtype=Homepage&module=second-column-region®ion=top-news&WT.nav=top-news&_r=0
 独シュピーゲル誌の英語版より。「孤独な宰相」メルケルが難民問題で批判の集中砲火にさらされている。
 難民問題が発生するまで、メルケル首相は欧州でもっとも力のある政治化だと考えられてきた。しかし、現在は彼女の難民問題への対処の仕方がドイツ国内やブリュッセルで批判にさらされている。彼女は生き残れるのか。
 先週の月曜日、メルケル首相は保守政党の支持者と懇談する機会を持った。しかし、4分の3の時間は難民問題はドイツに存在などしないかのような扱いだった。
 しかし、地元の経済有力者が現在、ドイツが抱える最大の問題に話題を振った。メルケル首相は深いため息をついた後、けっしてばら色ではない結論を述べた。
 現在のところ欧州の中で難民をどういう分担で受け入れるのか、合意は得られていない。トルコとの間でも、難民が欧州に入ってくるのをどう和らげるかでも合意できていない。バルカン半島ルートでも、シリア人やアフガニスタン人、イラク人らの難民申請に対し、混乱とコントロールが欠如していると述べた。
 メルケル首相の強みの一つは、政治的現実を的確に見分けることだ。
 一言でいって、政府はコントロールを失った。ドイツは緊急事態に陥っているという。メルケルは依然としてCDUの支持者にその政治基盤の多くを負っている。しかし、毎日何千人もの難民がドイツに入ってくるに従い、その支持基盤は徐々に侵食されている。
 彼女の政治的な格言である、欧州は経済的な国境の壁を設けるべきでない、という信念も揺るぎ始めている。隣国オーストリアの内務大臣は先週、オーストリアは追加の国境警備施設を設けざるを得ないと述べた。
 メルケル首相の運命は前任のシュレーダー首相に重ねることができる。彼の進めた社会福祉や失業給付のカット政策は社会民主党内の離反を招き、旧東ドイツ共産党の成長を招いた。
 今回のメルケル首相の難民政策は、ドイツで極右政党の台頭を招きかねないという懸念も出ている。
 http://www.spiegel.de/international/germany/merkel-under-fire-as-refugee-crisis-in-germany-worsens-a-1060720.html