英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

メルケルの苦悩

 中国経済についての続報。中国版の鉱工業生産指数は予想より弱い数字が出ている。小売販売も想定より弱い数字だった。需要の弱さと過剰設備の状態が続いている。
 鉱工業生産指数は、今年1月と2月、5・4パーセントの伸びだった。昨年12月は5・9パーセントの伸びだった。一方、テール売り上げは10・2パーセントの伸びだった。とくに春節で売り上げが伸びるはずなのに、事前予想より数字は弱かった。
 全体として以前として絵はグルーミーだ、とあるエコノミストは述べている。春節という特殊要因があるので、中国の1月と2月の統計は2ヶ月一緒に公表される。
 http://www.wsj.com/articles/china-economic-data-paints-gloomy-picture-1457775550
 欧州の難民危機がメルケルのゆるぎないオーラを弱めている。欧州の小国マケドニアの大統領に講義を受け、EUサミットでは挑戦され、同盟相手であるオーストリアバイエルン州から反抗を受ける。これまで欧州でもっとも力をもつ首脳であるメルケル氏にとって、最近はこんな出来事に遭うことが多い。
 日曜日にはメルケルのこれまでの手腕について、有権者が一票を投じるチャンスがある。
 今週のブリュッセルにおける首脳会議は、メルケルが依然として汎ヨーロッパ的な理念にこだわっている点がはっきりした。トルコから難民が押し寄せたとしても、欧州国境は常に開放しているべきである、というものだ。
 しかし、オーストリアや右派勢力の批判が激しい。それはメルケル首相のお膝元の政党からも起きている。オーストリアはすでに国境を閉じようとしており、マケドニアもそれに続いている。
 皮肉なことに、こうした国境閉鎖はメルケル首相を国内で助けることになる。
 これから春がやってきて、バルカン半島の難民のフロンティアは、強固な国境線を築くことができず、難民はアルバニアなどの新たな経路を模索する可能性がある。
 ブリュッセルにおけるサミットで、彼女はギャンブルに打って出た。ギリシャにやってくる新たな難民をお金と引きかえに、トルコに引き戻す。そして、EUビザの自由化を推進し、シリアの難民の再定住を促す。
 この提案にEU首脳陣はびっくりした。ある外交筋は、なぜメルケルがこんなリスクをとろうとするのか、理解できないと述べた。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/e2a25f54-e784-11e5-ac45-5c039e797d1c.html#axzz42ec9BFPG