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メルケルの妥協

 晴れ。
 ドイツの連立政権内で、メルケル首相とゼーホーファー内務大臣との間で妥協が成立した。発足してわずか3か月しかない連立政権は、崩壊の淵から逃れることができた。
 問題は難民政策をめぐる対立である。
 ゼーホーファー氏は日曜の夜、CSU党首と内務大臣の職を辞任すると申し出ていた。しかし、月曜日に合意した協定によって、政権内にとどまると認めた。
 メルケル首相との合意によると、ドイツとオーストリアの国境に、ほかのEU諸国で登録された難民申請者向けの一時避難センターを設ける。そして、そこから直接、彼らの処遇に責任を持つ国々に送られることになる。
 これは妥協を意味している。ゼーホーファー氏はこうした難民は即座にドイツ国境から送還されるべきだと主張していた。しかし、この要求をメルケル氏は拒否した。メルケル氏は、こうした一方的な動きはシェンゲン条約におけるパスポートがあれば移動は自由であることに反し、欧州の統一を乱すことになると述べた。
 今回の妥協は同時に、難民は単純に適切な国に送り返されるべきでない、というメルケル氏の考え方を反映した。しかし同時に、今回の妥協はゼーホーファー氏や党内の保守派にとっても勝利となった。彼らは長い間、トランジットセンターの創設を訴えていたからだ。
 姉妹政党の分裂は、どちらに打撃だったかというと、CDUではなくCSUだった。世論調査によると、CSUの支持は基盤となる州で34%しかない。去年の総選挙の結果より5%落ちている。
 メルケル首相との会談前にゼーホーファー氏はメルケル首相を厳しく攻撃していた。
 https://www.wsj.com/articles/merkel-faces-showdown-over-migrant-policy-1530539359?mod=hp_lead_pos2
 https://www.ft.com/content/126ab2d6-7e0f-11e8-bc55-50daf11b720d