英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

TPP交渉と為替操作

 Tim Duy教授。
 12月の雇用統計について。新規雇用者数の増加は良好だったが、問題は賃金の上昇がみられないことである、と。賃金上昇がなければ、物価は上昇せず、Fedの考える目標に達しない。Fedは難しいジレンマに陥っていると指摘している。
 賃金頼みの金融政策という点では、日米は共通化してきたということか。
 http://economistsview.typepad.com/economistsview/2015/01/fed-watch-wage-growth-or-lack-of-continues-to-surprise.html
 為替操作を止める方法、と題するNYTの論考。筆者はジャレド・バーンスタイン
 冒頭、オバマ政権はTPP交渉の取りまとめに向け、それに反対する労働組合を熱心に説得していると報じている。TPP条約に付け加えるべき条項がひとつあるという。それが為替操作に関する条項だ。
 現在、為替操作を使っている国の中には、中国やマレーシア、シンガポールとともに、日本もやり玉に上げられている。中国以外はいずれもTPP交渉の参加国だ。
 バーンスタインは、フレッド・バーグステンの試算を使い、為替操作によって米国の貿易赤字は2000億から5000億ドルにのぼると推計している。そして、それが100万人から500万人の雇用の喪失につながっていると説く。
 TPPというと自由を促進するような協定をイメージするが、実はそうではない。特許権の保護などはむしろ保護貿易主義的なものである。その点、為替操作を防ぐルールづくりはこのTPPのフレームワークにぴったり合う。具体的には、外国為替を購入するような動きには罰金が課せられるべきである。
 この論考、中国をメインターゲットにおいているようだが、中国がTPP交渉の参加国でない点が弱点である。もちろん、交渉の果実を中国に互恵主義で適用すべきだとしているが…。
 http://www.nytimes.com/2015/01/10/opinion/jared-bernstein-how-to-stop-currency-manipulation.html?partner=rss&emc=rss