英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

PatientなFed

 晴れ。冷え込みが厳しい。
 FOMCについて、WSJのHilsenrath記者の分析。利上げに向け、慎重な一歩を踏み出したというのが総合評価だ。利上げに向け、「considerable time」という文言を残し、一方で「Patient」な努力を続ける、という表現を導入した。
 ただ、Fed内部に、将来の金利上昇の道筋について意見の対立も見られる。
 声明文が午後2時に公表された後、ダウ株価は300ポイント近く上昇した。Fedハト派的姿勢を維持し続ける、と受け止められた。
 さらに、FOMC後の記者会見でイエレン議長は、今後2回の会合の間は少なくとも、利上げを行わないと明言した。これがpatientの意味であるとの解説だ。
 http://www.wsj.com/articles/fed-sticks-to-patient-tack-on-rates-1418843005?mod=WSJ_hp_LEFTTopStories
 以下が声明文。「相当な期間」の文言は以下のように残されている。
 ”The Committee sees this guidance as consistent with its previous statement that it likely will be appropriate to maintain the 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate for a considerable time following the end of its asset purchase program in October”
 http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20141217a.htm
 FTの論評。2015年半ばまでに金融引き締めをスタートさせる、という強いメッセージを市場に送ったと解釈している。昨今のグローバル経済の混乱にも関わらず、Fedは米国経済の成長の力強さに自信を持っているようだ。
 声明文には3名の反対票が投じられた。投票結果は7対3だった。
 イエレン議長は記者会見で、「相当な期間という文言の変更は何ら政策意図の変更を意味しない」と述べた。
 また、イエレン議長はあと2回のFOMCで利上げを決めないと述べたため、早くても4月までは利上げはない。
 Fedウォッチャーたちの耳目を引いたのは、イエレン議長のインフレに関する考えだ。利上げには高いインフレ率は必要ない、とイエレン議長は考えている。イエレン議長は思ったよりも利上げに前向きだと受け止められている。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/d7652586-861e-11e4-b248-00144feabdc0.html#axzz3MD5APmGY
 CRのコメント。イエレンはロシアの金融危機などにはさほど注意を払っていないように見える。米国へのスピルオーバー効果は小さい、と述べている。また、原油価格の下落がインフレ率に与えるインパクトについても、一時的だと見ている。そして、コアインフレ率が目標とする2%に近づくと述べている。
 さらに、政策変更は、年間8回予定されている会合のタイミングだけにとどまらないと述べていることも示唆的だ。臨時会合があり得ると言っているのだろうか。
 政治方面を牽制することも忘れていない。Fedの独立性は重要であり、政治がFedを監視することに反対している。
 http://www.calculatedriskblog.com/2014/12/comments-on-fed-chair-yellens-press.html
 TimDuy教授。
 http://economistsview.typepad.com/economistsview/2014/12/fed-watch-quick-fomc-recap.html