英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ルーブル危機

 晴れているが、強風。
 ルーブル安が止まらない。ウクライナ問題に端を発した西側諸国との紛争は、ロシア市民にとってあまり大きな経済的影響はなかったのかもしれない。しかし、突然生じたルーブル安は、ロシア市民を直撃している。原因は、原油安と経済制裁だ。金融危機が再び生じるかもしれないとの恐れが浮上している。
 火曜日のルーブル相場はドルに対して2割減価した。ロシア中央銀行が17%に利上げに踏み切ったにもかかわらず、だ。
 こうした事態はプーチン氏にとって大きな政治的チャレンジに転じる可能性がある。ロシアによるクリミア半島併合はロシア国民の7割が支持している。しかも、国内にプーチンのライバルは存在しない。この国民が物価高や経済が不安定になることで、反プーチンのデモに打って出るか、今のところ不透明だ。
 一方、ロシア国内の銀行には、ドルやユーロを求める市民が列をなしているという。
 http://www.wsj.com/articles/ruble-drop-sparks-broader-russian-worry-1418757018?mod=WSJ_hp_LEFTTopStories
 ロシア発の金融危機が現実味を帯び始めた。1998年の再来となるだろうか。ロシア中央銀行によるルーブル防衛のための利上げが効果がない。
 世界のマネーはドイツ国債など安全資産に退避し始めている。
 ロシアの買い物客はモノの買占めに走っている。銀行はドルやユーロ不足となっている。
 「ロシアはまさに金融危機。危機の終わりが見えない」というファンドマネージャーもいる。
 火曜日のルーブル相場は1ドル80ルーブルまで下落した。1998年にロシアが国内債をデフォルトした記憶がよみがえる。現在は1998年当時より財政収支や外貨準備高は豊富であるにもかかわらず、だ。
 焦点は今日まで開催されているFOMCでイエレン議長がどのような判断をくだすかだ。もし利上げの強いメッセージを送ると、新興国から資金が引き上げかねない。米国内は堅調だが、利上げ判断に迷うところだ。
 ロシア中銀による利上げに効果がないことが判明したことで、モスクワが資本規制を導入するのではないかとの観測も浮上している。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/a46968ba-84f5-11e4-bb63-00144feabdc0.html?siteedition=intl#axzz3M6fmKqTS
 ルーブル危機について、クルーグマン教授。
 http://economistsview.typepad.com/economistsview/2014/12/the-ruble-and-the-textbooks.html