英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

TTIPの功罪

 晴れ。
 マレーシア航空機の撃墜事件をめぐり、プーチン大統領と西側諸国との対立が激しくなっている。日曜日の夜、西側首脳たちはプーチン大統領に対し最後通牒を突きつけた。具体的には、イギリス、フランスとドイツがロシア大統領に対し、事故調査委員会ウクライナ東部の現場に立ち入ることができなければ、火曜日にさらなる制裁に直面することになるとの警告を発した。
 プーチン大統領とドイツのメルケル首相は日曜日夜に電話会談を行った。独立した国際的な事故調査委員会が安全に動ける環境を保障することで合意した。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/0/f0ec9426-102b-11e4-90c7-00144feabdc0.html#slide0
 欧州首脳の怒りが募っているという記事。ロシアに対し、より厳しい制裁を科するべきだとの論調が強まっている。ただ、本当に実効性のある制裁措置を科することができるかどうかについては、不確実性が残っている。
 対ロシア強硬策を主張する欧州諸国にとって、この事故は分岐点になる可能性がある。ただ、現実的には官僚制と法的な壁が待ち受けている。
 http://online.wsj.com/articles/european-leaders-threaten-harsher-sanctions-against-russia-1405876212
 米国とEUとの間で交渉が行われているメガFTATTIPについて、その功罪が論じられている。すでに米国と欧州との間の貿易障壁は低く、TTIP批判派は、TTIPによって消費者保護や環境保護の障壁が緩やかになる弊害が起きると指摘している。
 シンクタンクCEPRの推計によると、TTIPによって関税障壁はゼロに近づき、非関税障壁は25%ほど低下し、政府調達の障壁は50%減少する。その結果、EUGDPは2027年までに0・5%増加するという。
 このメリットは主に第三国の代償のもとに生じるという。たとえば、カナダとメキシコは米国と自由貿易協定を結んでいるが、TTIPによってその価値が失われてしまうという。
 TTIPのような貿易協定は何を変えるのか。大きく3つの次元での変化が予想される。市場アクセスと規制への協力、貿易ルールの3つだ。市場アクセスが改善されれば、欧州の企業や消費者にとってメリットをもたらす。また、規制が標準化されれば、不確実性のコストが低下する。
 http://www.voxeu.org/article/transatlantic-trade-and-investment-partnership-review-debate-economic-blogs