英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

世襲財産資本主義

 晴れ。良い天気の週末。
 FTのマーチン・ウルフがフランスの経済学者、Thomas Pikettyの本「21世紀の資本論」に言及している。4つの素晴らしい達成があるという。一つはその歴史的視点が壮大であることだ。2番目は15年にわたる実証研究に基づくものであることだ。
 とくに平等について。第二次世界大戦後の平等は、累進的な課税によって達成された。さらに、それより大きな機能を果たしたのが、相続された富が破壊されたことだ。現在、われわれの社会はゆっくりとながら、再び「世襲財産資本主義」(patrimonial capitalism)を作り上げようとしている。
 所得に対する富の割合は、欧州で上昇していることも注目に値する。とくにフランスや英国でその傾向が顕著だ。また、英語圏の諸国で、上位1%の高所得者の占める割合が1980年以降、顕著に上昇している。その理由は、米国における「スーパーマネージャー」の登場や欧州における世襲財産資本主義に求められる。
 3つめの特徴はPikettyが実に簡単な経済モデルをつかって、現在進行中の事象を説明していることだ。米国における高所得者の所得が増えている理由は、スポーツ選手やタレントのせいではなく、普通の企業の管理職層の報酬が増えているからだ。限界的な生産性が本当に上昇しているのか、説得的な理由はない、とする。
 最後に、Pekettyは非現実的な政策を支持しているという。とくに、限界税率の大幅な引き下げと、グローバルな累進的富裕税を課すことだ。
 大事な問題は、こうした富や所得の不平等はなぜまずいのか。一つの理由は、不平等はイノベーションを刺激するが、現在の不平等度はその度合いを超えているというものだ。もう一つの議論は、正義(正しさ)の観点からの議論。
 http://www.ft.com/intl/cms/s/2/0c6e9302-c3e2-11e3-a8e0-00144feabdc0.html#axzz2yxLusWnz