英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

雇用統計

 夏の朝。晴れ。
 米国の雇用統計である。米国経済は完全雇用に近づいているが、Fedの顔色は冴えない。雇用だけがFedを利上げに踏み切らせるわけではないからだ。
 7ガツの雇用統計は全般的に強含みの内容だった。新規雇用者数は25・5万人の増加。事前予想は17・9万人だったので大幅に上回った。前月、前々月の数字も上方修正された。
 失業率は変わらなかった。しかし、より多くの人々が労働力に参入したからだ。平均時間給は0・3%上昇し、1年前より2・6%の上昇となった。
 この雇用統計の結果によって、9月のFOMCで利上げに踏み切る可能性が高まった。11月は大統領選があるのでFedは動きにくい。12月の利上げがもっとも可能性が高い。
 雇用市場は依然としてタイトな状況にある。ゴールドマンサックスのエコノミストによると、人口の成長に合わせて雇用市場がバランスするには月間8万5000人の新規雇用者数が増えなければならないとしている。過去3カ月を見る限り、この2倍のペースで雇用は増えている。
 http://www.wsj.com/articles/why-jobs-wont-jolt-the-fed-1470414157
 Hilsenrath記者。金曜日の雇用統計におけるマジックナンバーは20万人だ。
 http://www.wsj.com/articles/hilsenraths-take-fed-in-no-hurry-unless-payroll-headline-is-robust-1470391984
 ピケティ教授の不平等理論に実証的な証拠はない、とIMFエコノミストが論じている。歴史的データをみると、彼はすべて誤っていると手厳しい。
 ピケティ教授は、資本のリターンが経済成長を上回っているため、不平等が拡大すると論じた。しかし、IMFのカルロス・グエス氏によると、歴史的データで実証されていないという。
 グエス氏は19の先進国の過去30年にわたるデータを使い、ピケティ理論を検証してみた。資本のリターンが産出を上回っているのに、不平等度は実際には減少したという。
 この結果はMITのアセモグル教授やシカゴ大学のロビンソン教授らの研究を支持するものだ。ピケティ教授の理論はあまりに単純化しすぎているという。また同時に、貯蓄率が安定しているというピケティ教授の理論にも欠陥があるという。むしろデータが示すのは、貯蓄率の変化が、国民所得における資本のシェアの増加を相殺する効果をもっているというものだ。
 もしグエス氏の指摘が正しいのなら、ピケティ教授のいう累進課税という処方箋は誤っていることになる。
 http://blogs.wsj.com/economics/2016/08/05/no-empirical-evidence-for-thomas-pikettys-inequality-theory-imf-economist-argues/
 これがその批判ペーパーである。
 http://www.imf.org/external/pubs/ft/wp/2016/wp16160.pdf