快晴。
富裕国では賃金のギャップが縮小しつつある。
普通の人はますます貧乏になり、豊かな人はますます豊かになるという考えほど、硬く信じられているアイデアはない。資本主義は豊かな人に富をもたらし、労働者に厳しくあたるという信念も、世界中の多くの人々が信じている。この考えは政治的な右派も左派も共通して信じており、バイデンの発明主義の考え方やトランプ氏のポピュリズムにも共通している。
しかし、この考えは本当に妥当なのか。
豊かな国々において不平等度が拡大しつつあるという議論の証拠は薄弱なものにますますなっている。賃金ギャップは実は縮小しつつあるのだ。
2016年以降、実質週当たり賃金は、最下位クラスの米国人のそれは最上位のそれよりも上昇率が急速である。コロナ後、この賃金格差の縮小は勢いを増している。
ある試算によると、税引き前賃金の不平等度の40パーセントが解消されるほどだ。ブルーカラーにとっての良き時代が到来している。
大西洋をはさんだ欧州では、この傾向はよりはっきりしている。英国では、賃金上昇は雇用市場の底辺でより健全な形で起きている。大陸欧州では、賃金に関する合意はより賃金の低い労働者について起きている。賃金格差に関する長期トレンドについての概念に疑問符がつけられている。
10年前、トマ・ピケティがこの格差論争に火をつけた。