英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

アイルランドの法人税

 今日も天気が良い。京都は紅葉が見ごろだそうだ。
 午前中は休日出勤。
 
 ちょっと古いが、アイルランド財政危機に関して、法人税や国際競争力を考えさせる記事が出ている。日本でも法人税率を引き下げよ、という主張が出ているが、表面的な法人税率を議論することは、あまり意味がないということの証左でもある。
 http://www.ft.com/cms/s/0/aa77fd8a-f989-11df-9e29-00144feab49a,dwp_uuid=766f3dea-c712-11df-a806-00144feab49a.html#axzz16XQm4NRT
 アイルランド法人税率は12.5%だ。このことをどう考えるか。
 アイルランド政府はフランスやドイツから、税率を引き上げるよう圧力を受けているが、今週までのところ、そのままだ。税率を引き上げると、アイルランドの国際競争力に影響するが、英国の企業は単純な税率比較にあまり関心を持っていない。
 その理由は、企業が負担するのは法人税率だけではないからだ。企業が関心を持っているのは、海外の利益に対する潜在的な課税である。
 確かに、アイルランドの表面的な法人税率は英国より低いが、キーポイントは、英国のcontrolled foreign companies(CFC)の仕組みだという。
 CFCというのは、企業が租税回避地に拠点を移し、課税逃れをしようという動きを防ごうという仕組みのようだ。英国のCFCと比べて、アイルランドにおける、法人の海外収益課税の仕組みはより穏健なものだという。
 この点が、ある種の企業にとって魅力的に映る。
 しかし、企業がこの恩典を享受することで、アイルランドは外国企業の投資が活発になるが、その利得は明確な数字に現れてこない。ちなみに、2009年の法人税収は39億ユーロだ。
 たとえば、WPPという会社は全世界で14万1000人の従業員を抱えているが、アイルランドには、300人しか雇用していない。
 アイルランド法人税率引き上げを拒み続けることはできなさそうだ。いずれ、ユーロ圏の平均的な水準に近づくことになる。