英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

インサイダー疑惑

 今日は台風が上陸し、風の強い雨が朝から吹きすさんでいる。テニスはもちろん中止。124回目。

 過去のブログタイトルをざっと眺めてみると、5月から半年しか経っていないというのに、随分とテーマが移り変わっていることが分かる。

 まずは、英国の財政再建で学校予算が削られているという話。
 http://www.ft.com/cms/s/0/37d13f48-e3a0-11df-b6a6-00144feabdc0.html
 教育への資源投入は減らさないように政府が要求しているにも関わらず、英国の公立学校の3分の2が日々の予算削減を迫られている。生徒数は増える見通しであるのに対し、インフラ投資は削られているという。
 マイケル・ゴーブ教育相は、低所得世帯の子供に資金を投入する25億ポンドの「pupil premium」プランで評価されているが、超低所得の子供のいる学校のみ、予算が増える仕組みになっているという。学校に通う生徒の数は2.7パーセント増加するのに対し、教育費は毎年0.1%しか増やされていない。この鳴り物入りの仕組みは、かなり不平等な予算分配を巻き起こしている。

 米国経済の回復ぶりは芳しくない。
 http://www.ft.com/cms/s/0/f0cc03f2-e2dd-11df-9735-00144feabdc0.html
 第3四半期の米国の経済成長率は年率換算でちょうど2%だった。これで来週のFedによる量的緩和拡大の流れが一層強まった。
 米国にとっては、重要な1週間になる。中間選挙の一日後、FedはいわゆるQE2に踏み切る見通しだ。 
 成長率は第2四半期の1.7%から加速しつつある。だが、9.6%もの失業率を減少させるほど力強いわけではない。
 成長率の内訳をみると、年率換算で2.6%に達している消費の伸びが注目される。これは2006年以来の水準だ。しかし、雇用や賃金が増加しないと、この水準を維持し続けることはできないだろう。企業の設備投資は減速しており、住宅投資も住宅購入者への税制優遇措置が切れると、尻すぼみになりそうだ。
 Fedにとって難しいのは、消費者が住宅価格の下落を補うために、貯蓄に励んでいることだ。このため、QE2によって長期金利が引き下げられたとしても、需要を刺激できるか、疑問視するエコノミストが多い。
 “Monetary policy is not going to be the magic bullet to fix all of the ills.”
 金融政策は、あらゆる病気を治す魔法の弾丸ではない。まさにその通りだと思う。
 QE2の規模が取り沙汰されているが、金額に意味はない。
 中間選挙を前にして、この経済成長率は民主党にほとんど安心を与えなかった。

 トリシェ議長が重債務国の救済システムの危険性について、警告している。
 http://www.ft.com/cms/s/0/cba1de4a-e37c-11df-8ad3-00144feabdc0.html
 ECBのトリシェ議長が、ギリシャ式の救済システムが短期の借り入れコストを引き上げ、ユーロ圏の重債務国を危険にさらす、と欧州諸国の政府首脳に警告している。
 欧州諸国はしぶしぶながら、ドイツとフランス主導で提案された新しい恒久的な救済メカニズムで合意した。これで3年後に期限を迎える現行の4400億ユーロの救済ファンドに代わる仕組みが導入される。
 新救済システムでは、将来ソブリンの救済があるときは、民間の債券保有者により負担を求めている。ギリシャの救済にあたっては、欧州の納税者がそのコストを負担したが、それを転換する。
 しかし、トリシェ議長は先週木曜日、債務調整に際して民間投資家をリスクにさらすと、債券市場をおびえさせ、投資家の信認を再獲得しようと苦闘しているアイルランドギリシャのような重債務国の金利を引き下げてしまう、と警告した。
 これに対し、サルコジ大統領やメルケル首相は、これ以上将来のユーロ圏の救済に納税者のおカネを使うわけにはいかないと、反発している。
 EU条約の修正は政治経済的には非常な綱渡りの作業だ。メルケル首相の熱意に負けた格好だが、限定的な修正しか認めていない。メルケル首相らの熱意にも関わらず、大半の加盟国はEU条約の変更にさほど熱心ではないようだ。
 
 ルービニ教授の投稿。 
 http://www.ft.com/cms/s/0/dd140d16-e2c2-11df-8a58-00144feabdc0.html
 オバマ大統領は、前任者から大恐慌以来の経済危機を受け継ぎ、1兆ドルに及ぶ財政赤字を引き受けなければならなかった。他の先進国と異なり、財政再建より経済成長を優先した点で信頼に値する。
 ただ、これは一面を捉えたに過ぎない。来週の中間選挙後の財政政策を考えてみよう。現行の財政刺激策の期限が切れ、2001年から03年にかけて導入された減税策の大半は継続される。政府の失敗はFedに押し付けられ、QEを導入するところまで追い込まれている。しかし、研究が明らかにしているように、QEが2011年の米国経済を成長させる効果はほとんどないだろう。それゆえ、二番底を避けるため、財政刺激策が求められる。
 理想的には、福祉支出を減らし、より経済に歪みを与えない消費税や炭素税を引き上げ、財政赤字を減らすことが考えられる。しかし、現実的にはあり得ないし、むしろ反対のことが起きようとしている。
 共和党中間選挙で勝利を収めようとしている今は、さらなる景気刺激策は考えにくい。また、2012年は大統領選挙があり、財政再建は考えにくい。2011年だけ、わずかなチャンスがある。この年は、増税社会福祉支出のカットを提案できる。しかし、共和党増税に反対し、民主党は福祉予算の削減に反対するので、両者を組み合わせた政策が実行に移される可能性はゼロに近い。
 現在の手詰まり状態が、財政赤字に取り組むことを妨げている。金利が非常に低いため、「債券自警団」は眠っている。
 リスクは債券自警団が目覚めることだ。引き金は、米国州政府が債券のロールオーバーができなくなることで起きるだろう。その時にいたって初めて、政治家たちは連邦政府の債務に加えて、財政難の社会保障医療保険の債務、地方政府の債務、そして、公的年金に苦しむことになるだろう。
 米国が維持不可能な財政の道のりを歩めば、その結果は、全世界にとって最悪のことをもたらす。  

 インサイダー取引疑惑が東京市場で持ち上がっている。事件の奥深さ、広がりを予感させる良い記事だ。
 http://www.ft.com/cms/s/0/03f87906-e2c0-11df-8a58-00144feabdc0.html
 最近の日本企業による新株発行に伴い、広範囲にインサイダー取引の疑惑が出ている。東京証券取引所証券取引等監視委員会が調査を進めている。
 最近の新株発行を発表する直前に、株式の空売りが急増している。
 具体的な名前として挙がっているのは、日本板硝子。8月24日に新株発行を発表する前の2週間で15%も株価が下がった。東京電力は、9月29日の増資発表の2週間前に6%株価が下がった。