快晴。
ロシア経済は再び予言者の予言を覆した。選挙が近くなり、プーチン氏はインフレ率をコントロールできているように見える。
プーチン氏がウクライナに侵攻してから2年が経ち、ロシア経済は予言を外すような動きをしている。金融システムが崩壊すると2022年春当初はみられていたが、問題なく機能している。経済はリセッションに陥っているが、当初予想されたよりも深刻ではなく、長くも続かなかった。
インフレはほとんど大きな問題になっていない。昨年は物価が急速に上昇したが、エコノミストらはこれはコントロール可能な範囲を超えるとみていた。プーチン氏も懸念していたことだが、2月にプーチン氏は物価上昇に特別の配慮を、と述べた。
3月13日に公表されたデータによると、2月の物価上昇率は0.6%に過ぎなかった。年率ベースではもはやインフレが加速しているとはいえず、いずれ4%前後に落ち込むだろうとみられている。
ロシア大統領選挙の結果はすでに織り込まれている。
ロシアのインフレ率は昨年、コロナ期より大規模な財政支出の影響を受け、大きく急騰した。ウクライナ侵攻を受け、すべての支出を増やしたからだ。物資やサービスの需要は、ロシア経済が供給可能な能力を超えている。労働者を見つけることは困難になり、数十万人が動員され、一部はロシア国外へ逃げているからだ。
昨年10月まで、通常の賃金は年率18パーセントペースで上昇した。とくにヘルスケアや観光など労働集約型サービスでインフレ率は激しかった。
これに立ち向かったのが財政当局だ。昨年、為替コントロールに成功した。輸出業者に外貨預入を義務付け、ルーブル安定化につなげた。しかし、中央銀行側は、こうした財務省の動きについて市場経済を危機にさらすものだと批判している。ロシア中央銀行は金利を2倍以上に引き上げている。
高金利により、ロシア国民は資金を貯蓄に回し、支出を抑えている。緊縮的な金融政策は貸し出し抑制にもつながっている。
ただ、ロシア経済はいわゆるソフトランディングに向かっているようだ。経済のパフォーマンスはウクライナ侵攻以前のトレンドに戻りつつあるかのように見える。