英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

加速するアメリカ政治の分断

 エコノミストより。アメリカ政治の分断を取り上げている。唯一、選挙制度改革のみが政治システムを正常に機能させることになるという。

 まず2つの大きく異なる動きを見せた州がある。1つはカリフォルニア州。8月25日、同州はガソリン燃料の車の販売を2035年から禁止することを決めた。これは自動車産業を根底から覆すような動きである。

 同じ日、テキサス州が中絶禁止の引き金を引いた。レイプや近親相姦といった事例を除き、中絶を禁止する。もし中絶を行えば、最長99年の懲役刑に処せられる。

 これら2つの現象はそれぞれ関係がないかのように見える。しかし、これらはある重要な傾向の兆候を示している。

 ワシントンは大きく言って手詰まり状態にあるが、州政府レベルでは政策が恐るべきスピードで進んでいるのだ。理論上、こうした事態は悪い話ではない。

 アメリカには50州あり、どの政策が機能するのか否か、それを検証する50の実験場があるとも言える。企業や個人は自分の選好に合わせ、立地を選ぶことができる。例えば、多くの人々はコロナのさなか、より規制が緩い州へ移動したのが典型だ。人々は税金の重さと公的サービスの強さのトレードオフを選ぶことができる。

 連邦主義に対するこうした建設的なとらえ方は、いまの政治家たちが追求しているものではない。その代わり、政治家たちは国家的な文化戦争を戦っているのだ。銃や医療、移民に対する政策に関し、学校の教室のような議論がなされている。

 こうした問題は両党の政治家を怒らせるテーマとなっている。穏健派はより怒りが少なく、より道路の補修に費やせる方策を追求するが、州政府の政治家たちはそうしたことを軽々と無視することができる。

 なぜこういうことが起きるのか。それは、50州のうち37の州は1つの政党に支配されているからだ。

 https://www.economist.com/leaders/2022/09/01/american-states-are-now-petri-dishes-of-polarisation