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ECBの利上げ期待余波

 ECBによる利上げ期待がギリシャとイタリア国債に波及している。ECBがインフレに対し、よりタカ派的なスタンスをとるとの期待が高まり、債券価格を押し下げている。

 南欧諸国の国債利回りが急上昇している。月曜日の利回りはコロナ前の水準まで戻した。投資家はECBが今年の早い時期に利上げに踏み切るとの観測を踏まえ、調整に動き出している。

 ECBはここ数カ月、利上げに向けて慎重に動いている。ユーロ圏の経済がコロナ前に戻るまで、金融環境を緩和的にするとの約束を維持しつつだ。そして、中期的にはインフレ率を2%近傍に持っていくとしている。

 しかし、木曜日、ラガルド総裁はタカ派的姿勢を示した。というのも、年内の利上げの可能性を否定しなかったからだ。この会見の数週間前は明確に利上げの可能性を否定していた。1月のユーロ圏のインフレ率は5.1%を記録していたことが背景にある。

 週末にかけて、ECB理事の中で最初に年内利上げに言及したのが、オランダの中央銀行総裁だった。このままだと今年のインフレ率は4%に到達すると警告したのだ。オランダのノット総裁はできる限り早く債券買取をやめるべきだと述べた。

 これに反応してユーロ圏の債券価格は下落した。イタリアの10年国債は1.84%をつけた。これは2020年4月以来の水準である。

 イタリアとドイツ国債の利回り差も拡大している。

 債券価格の下落はイタリアよりもギリシャが著しい。ギリシャ国債の利回りは10年で2.55%。売り圧力はスペイン国債にも広がっている。

 アナリストによると、債券市場はECBの利上げ観測への調整を始めているという。利上げとなると、過去10年で初めてのこととなる。昨年マイナス領域に陥っていたギリシャ国債も、マイナス金利時代が終焉した。

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