英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

安い円は日本を救うのか

 曇り。

 ナスダック指数は5%も下落した。これほどの下落幅は2020年以来のことである。

 株式が売られ、債券も売られた。前日の上昇を帳消しにする下落幅である。

 ウォールストリートは木曜日、大幅な安値で終えた。前日のラリーの反転となった。ナスダック指数は2020年6月以来の下げ幅を演じた。コロナが始まって以来の下落幅である。

 ブルーチップ銘柄で構成されるS&P500指数は木曜日に同じく大きく下げを演じた。3.5%の下落幅であった。95%以上の銘柄が下げた。今日は隠れるところがないほどの下げだったようだ。

 いくつかのファンドはキャッシュを調達するために持ち分のいくつかを売らざるを得なかったようだ。

 Fedは水曜日に0.5%幅の利上げを決断した。このインフレを抑える狙いの利上げ幅は2020年以来の水準となる。パウエル議長は今後2回の会合で同様の上げ幅をもった利上げに踏み切る強いメッセージを発した。

 https://www.ft.com/content/d8ba254c-74e3-4e33-903d-98813264ed4c

 Fedの政策変更は結局、市場に渦巻きを引き起こしつつある。Fedは過去10年間で最悪のインフレと戦っている。10年間にわたって続いた金融緩和政策を正反対の方向に転換しようとしている。

 今週、Fed金利を0.5%ポイント引き上げることを決めた。同時に、間もなく保有する債券残高も減らす。オーストラリア中央銀行も突然、0.5%の利上げを決めた。

 イングランド銀行も利上げを決める予定である。金融市場は突然、金融引き締めの現実に苦痛に満ちながら気づいたようである。

 世界の株式市場は4月に8%下げた。そして、2022年の年初からは11%の下落である。5月2日には米国債10年ものの利回りは3%に到達した。今年初めと比較すると、実に2倍になった。

 金融条件の引き締めによる1つの結果は、通貨の価格再調整である。ドルは他通貨のバスケット比で7%上昇した。米国はほかの先進国と比べてより高い金利を必要としている。それは経済の過熱に対処するためである。高金利通貨となったドルに、世界の投資家がひきつけられている。

 特に注目は円に対するドルの強さだ。日本は豊かな大国の中で唯一、金利を底に固定している。

 https://www.economist.com/leaders/the-federal-reserve-is-causing-pain-in-financial-markets/21809132

 円の下落。20年間でもっとも急激な下落は、追いつけないペースである。日本経済を救うことになるのか、それとも日本を一層沈めることになるのか。

 対ドルで円が130円とつけたのは、2002年が最後のことだった。当時は中国経済はフランスよりも小さく、プーチン氏は西側諸国と笑顔で会談していた。

 その円が当時と同じ水準に沈んでいる。

 https://www.economist.com/finance-and-economics/will-an-ever-feebler-currency-save-or-sink-japans-economy/21809095