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ノルウェーSWFのインフレ懸念

 快晴。

 資産運用の世界でもインフレへの懸念が高まっている。世界最大の資産運用ファンド、ノルウェーのSWFの幹部が警告を発している。インフレが世界経済の永続する特徴になると、資産運用界は何年も低いリターンに苦しめられることになるという。

 ノルウェーのSWFは1.3兆ドルもの運用資産を持つ。インフレが永続的なものか、それとも一時的な現象なのか、議論をしているという。

 世界の主要各国においては、20年ぶりのインフレが生じている。特に米国では年率換算のインフレ率が12月に7%に達した。

 ノルウェーの石油基金は世界の上場株式の1.5%相当を保有しているが、インフレは想定していたよりも力強いものだ、と明かしている。同基金の役員の間でもインフレの動きを注視しているという。イケアは価格を9%引き上げた。食品価格も上昇し、その上昇率も高い。同時に賃金が上昇するかどうかの兆候も見ているという。

 その結果、今後数年間は株式と債券、双方に影響を与えうるという。

 エコノミストの見方は、このインフレについて一時的なものなのか否かで意見が分かれている。あるエコノミストは、パンデミックが一時的にサプライチェーンにショックをもたらしたと論じている。それゆえ、時間がたてば落ち着くと論じる。

 市場のインフレ期待をみる限り、投資家はさほどインフレに関心を払っていないかのようにみえる。もっともポピュラーな指標である10年もののBEIは、インフレは2.5%近辺で均衡しそうだ。2年ものでみると、3%超の水準で落ち着くことになりそうだ。

 しかし、ノルウェー石油基金では、人々の引退や労働市場から退出により、インフレが恒久的なものになる可能性を考えているという。

 古典的なバランスポートフォリオである、株式に6割、債券に4割配分するポートフォリオの場合、インフレが今後5年から10年続くと、年率リターンは2%しかなくなる。過去1世紀間のリターンは、5%だったので、その半分しかない計算となる。

 そのため、大手投資家はいわゆるオルタナ投資を増やしている。ヘッジファンドベンチャー投資、不動産などだ。昨年のオルタナ投資の運用総額は13.3兆ドルに達したが、これが2026年末までに23.2兆ドルに増えるという。

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