エコノミストより。
第2の冷戦と題する論考。バイデン新大統領は同盟国と大胆な取引に打って出る可能性があるという。
トランプ氏の本能は、アメリカを独力で戦わせるというものだった。旧来の同盟国はパートナーではないとみなした。しかし、ジョー・バイデン氏は中国戦略について、このトランプ氏のとった道筋とは異なるものを選ばざるを得ない。米国はような考え方をもつ国々と努力をプールするために、大胆な取引をする必要がある。新たなアライアンスを築き上げるための障害は大きい。しかし、そのメリットはもっと大きい。
その理由を探るために、中国との冷戦が最初の冷戦と何が違うのか、考える必要があるだろう。ソ連との競争は、イデオロギーや核兵器をめぐるものだった。しかし、中国との冷戦の舞台は情報テクノロジーをめぐる争いだ。
これらの競争は、アメリカと中国のどちらが、軍事的な優位性を築くかどうかだけでなく、よりダイナミズムのある経済を築き上げることができるかを左右する。
最初の冷戦は、全く分離した世界を創造した。第2の冷戦の主人公は、お互いに関係し合っている。それは中国が世界経済に組み込まれているからだ。特に2001年のWTO加盟が大きかった。
中国共産党は、このテクノロジーが権力の源泉となることを十分理解している。中国は大規模な市場と野心、多くの才能ある人材に恵まれている。中国共産党は、中国企業に大量の補助金と産業上の優遇措置を与えている。
トランプ氏によるアメリカ一国で中国に対抗するという戦略は一部はうまくいった。しかし、長期的には、このアプローチは中国を利することになる。米国による制裁の結果、中国は、独力で世界クラスの半導体産業を築き上げようと努力している。現に、EUはアメリカの圧力によって、産業政策を歪めることを拒否しつつある。EUの政策担当者はアメリカの巨大テック企業にデジタル課税を課そうとしている。
バイデン氏はこの傾向を協調の方向に持っていく必要がある。例えば税制や規則、サプライチェーンなどで協調する必要がある。
https://www.economist.com/leaders/2020/11/19/the-china-strategy-america-needs
PSより。バイデンとアメリカの今後の国際社会における役割について。
国際関係において、リーダーシップとリーダーの個性というものがいかに重要であるかは、永遠の論争のテーマである。過去4年間の混乱の後、もはや疑いなくこのことは当てはまる。ハーバード大のジョセフ・ナイ教授が論じてるように、外交政策はモラルについての考察が欠けている。その意味で、バイデン氏の新大統領就任は世界にとって非常に素晴らしいニュースである。