石油業界の巨人、エクソンモービルはなぜ原油にこだわり続けるのか。ライバル勢は化石燃料からグリーンエネルギーへの転換を進めているのにも関わらず、だ。
2011年の終わりに、エクソンモービルはイラクとクルド地域の、紛争の多い地域で原油を掘削する計画を公表した。イラク政府は国を分断しかねない動きだとして、エクソンが進めているバスラ地域での大規模プロジェクトから追い出すと脅した。
しかし、エクソンはイラク政府の要求を突っぱねた。当時、イラク政府が得ていた原油収入は年間800億ドル。それに対し、エクソンのそれは4300億ドルにのぼっていた。
しかし、それから10年が経過し、こうした構図は一変した。かつてはウォールストリートからすると、エクソンに投資することはもっとも安全な投資の一つであった。しかし、今やそうした地位にはない。
コロナウイルスが世界の原油市場を揺るがす以前から、エクソンは苦しんでいた。コロナウイルスはそうしたエクソンの実情をさらすことになった。
アナリストによると、原油生産の成長スピードを高めることやよりリスクの高い、お金のかかるプロジェクトへの嗜好というのが、エクソンという会社を縛り付けているという。他のライバル企業がグリーンエネルギーにシフトを始めているのに、エクソンは原油の未来に将来を懸けているようにみえる。
エクソンのCEOは7万5000人の社員向け書簡でもそうした自信を示したが、このギャンブルが成功すれば、の話である。
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