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ハト化するFed

 晴れ。

 Fedは2022年の終わりまで、利上げを見込んでいない。5月の雇用統計は予想以上に良かったにも関わらず、Fedのトーンはハト派的だった。

 Fedの幹部らは、ゼロ金利が2022年末まで続くとの見通しを示した。コロナウイルスの流行前まで失業が戻るには数年かかるとの前提である。

 今年6.5%のマイナス成長を見通しているFedハト派的なトーンは、中央銀行が経済ショックに立ち向かい続けるとの期待を強化することになった。

 声明文の内容は4月とさほど異なるところはなかったが、FOMCはすべてのツールを使って米国経済をこの挑戦的な時期に支えると述べている。そして、ゼロ金利を経済が確実性を取り戻すまで続けると述べた。

 会合後の記者会見でパウエル議長は、「われわれとしては、利上げを考えていない。利上げを考慮するということすら、考えていない」と述べた。

 Fedが経済見通しを公表するのは、昨年12月以降では初めてである。今年に入り、コロナウイルスが経済のアウトプットや雇用に影響を及ぼし、Fedの見通しでは経済の回復は2021年になるとみられている。この時点で経済成長率は5%となり、失業率は6.5%まで低下する見通しだ。

 2人の委員を除き、それ以外の委員らは2022年いっぱいまでゼロ金利が続くと考えている。コアPCEインフレ率は今年、1%である。それは2021年には1.5%、2022年になっても1.7%にとどまり、Fedが目標とする2%には届かない。

 3月以降、Fed金利を引き下げるとともに、バランスシートを急拡大させてきた。これらは金融危機当時よりも規模といい、スピードといい、ともに上回っており、そのことが米国の株式市場を急速に回復させている。

 市場がリバウンドしたことで、Fedにとっては次の手段を考える行き着く余裕が得られた。水曜日に、Fedは少なくとも市場機能がスムーズに維持できるまで、国債保有を増加させ続けると表明した。

 パウエル議長は同時に、フォワドガイダンスのより明確な形を検討していると述べた。1930年代に導入したイールドカーブに沿って金利のターゲットを決めるような政策への回帰もありうる。いわゆるイールドカーブコントロールだ。

 金融市場が安定する一方で、実体経済は苦痛に満ちた、長い回復過程に直面している。

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