曇り。
黒人男性の殺害をきっかけに広がった全米規模の混乱が一層激化している。過去にあったアフリカ系米国人の殺害事件などに改めて光が当たっている。
ジョージ・フロイド氏の最後の言葉が人々の間に知れ渡るようになった。ミネアポリスの白人警察官が膝をつかって、およそ8分間、押さえつけた。その際、フロイド氏が発した「息ができない」という言葉が広がっている。同じような言葉は2014年にニューヨークで警官による同じような行為で死亡した件でも使われた。
ミネアポリスでは人々が火を放ち、遠く離れたロスアンジェルスやニューヨークでも抗議活動が広がっている。
アフリカ系米国人の警察における処遇は、2020年の大統領選のテーマに急浮上している。コロナウイルスでは10万人の米国人が死亡し、とくにその影響は黒人層に不平等な形で広がっている。
トランプ大統領はこの混乱にむしろ燃料を投下するような言動に出ている。抗議活動に対し、軍事行動をとる可能性を示唆した。トランプ氏はツイートで、「ウォルツ知事と話しをし、軍事行動を用意している。強奪が始まれば、射撃も始まる」と述べた。
この最後の言葉は、1967年にマイアミの警察署長が説明した言葉である。
ツイッター社は暴力を賛美するとして、トランプ氏のこのツイートを削除したが、この言葉をホワイトハウスは繰り返している。
トランプ氏は後になって、この言葉は事実を述べただけで、意見を述べたわけではない、と釈明した。彼としては、暴動が起きたときに何が起きるのかを単に表現しただけ、と言いたいようだ。
46歳のフロイド氏の死は、過去数年の同種の事件とは異なった側面がある。映像の詳細が、立つ位置によって異なっているからだ。2014年にミズーリ州ファーガソンで起きた暴動では、2週間にわたって暴動が続いた。
フロイド氏の死は、米国政界に激しい非難を巻き起こした。トランプ氏は軍事行動を示唆する前に、司法省に調査を命じた。民主党の大統領候補であるジョー・バイデン氏は、これは単独の事故ではなく、システミックな不正義の一つだと非難した。
警官によって殺害された事例を連邦政府は公開していないが、民間団体などの調べによると、年間1000人にのぼるという。
https://www.ft.com/content/3c68d65a-0fa6-445e-8e46-6ea779e3cd38