英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

動き出すサウジのソブリン・ウェルス・ファンド

 快晴。

 サウジのSWFがコロナウイルスによって安くなった世界のブルーチップ銘柄の買いに動いている。サウジのサルマン皇太子が運営するファンドが、コロナ混乱下で利点を生かしている。

 今年1~3月の間に、少なくとも77億ドルを投じ、アメリカやヨーロッパの優良銘柄を買い上げている。具体的には英国のBPのほか、ボーイングの株式を購入している。米国の規制当局に提出した資料で明らかになった。

 そのほかにフェイスブックやバンカメ、シティグループ、ウォルトディズニーやファイザーなどの銘柄もある。これらのいくつかは新規の投資で、クルーズ船のオペレーターやコンサートプロモ―タ―株も取得している。

 昨年末時点において、このファンドが保有を唯一公開していたのは、ウーバーとテスラのみだった。しかし、この2社の株式は今年の第1四半期に手放したようだ。

 このファンドの運用責任者は先月、3250億ドルもの運用資産がコロナウイルスによる混乱の中、割安となったり、現金を求めている投資先や投資機会を探していると述べていた。そして、このファンドPIFは、サウジ国内が過去数十年でもっとも深刻な経済危機に見舞われているさなかに、海外投資を拡充している。

 PIFはいわゆるペイシャント投資家であり、長期を視野に入れた投資を志向しているという。

 産油国投資ファンドとしては、アブダビのムバダラやカタールのQIAがある。これらも同じように投資機会を探しているが、その中でもサウジのPIFがもっとも積極的である。

 PIFはムハマド・ビン・サルマン皇太子が事実上の実力者となった2015年以降、改革を進めてきた。

 https://www.ft.com/content/5cb71f75-cc6e-4ed5-9106-29bd33099fa3