英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

危険な格差

 小雨。

 エコノミストより。

 株式市場の歴史はドラマに満ちている。1929年の大恐慌。1987年のブラックマンデー。これらの時は20%の株式価値が1日で消失した。こうした前例を考えれば、過去8週間の出来事ほど驚くべきことはないかもしれない。

 いったん株式は大きく売られた後、アメリカではびっくりするような株価上昇が起きた。2月19日から3月23日の間に、S&P500は3分1の時価総額を失った。しばらく中断した後、半分以上の損失を回復した。

 そのきっかけとなったのは、Fed社債を買い入れ、大手企業へ資金支援するというニュースだった。投資家は静かに、パニックから楽観論へシフトした。

 こうしたウォールストリートのバラ色の見方は、読者を不安にさせる。アメリカの動きは他国の動きと対照的だからだ。英国や大陸欧州の株価の回復はより冴えないものだ。そして、実業界の動きとも異なる。

 ロックダウンが緩和されたアメリカでは、雇用はより厳しいもので、失業率は16パーセント近くまで達している。大企業はFedによって助けられるが、中小企業は政府から資金を得るのに苦労している。

 2007年から2009年の金融危機の傷跡が再び開いた。今回の財政負担をだれが負うのか。その戦いは始まったばかりだ。現在の見通しによると、大手企業への反発が再び起きそうな気配である。

 まずはマーケットで起きていることから話を始めよう。多くの改善ムードはFedの動きからきている。Fedは他の中央銀行よりもドラマティックに動いた。資産を想像ができないほど多く、買い入れる。ハイイールド債、いわゆる屑とされる債券も買い入れるからだ。

 2月から凍結されている新規の社債発行も再開された。過去6週間で通常時の2倍近い、5600億ドルの社債が発行された。大手企業の経営破綻も未然に防がれている。まさに、Fedアメリカ株式会社のキャッシュフローの抑え役となっているのだ。

 このところの株価上昇は不平等な形で生じている。GAFAMの株価はS&P500の5分の1を占めるまでになっているが、ユーフォリアが生じているわけではない。しかし、この先には3つの難題が待ち受けている。

 1つはコロナ後のリスクだ。コロナ感染の第2波が起きうる。アメリカのGDPは第2四半期に10%ほど落ち込むと予想されている。

 https://www.economist.com/leaders/2020/05/07/the-market-v-the-real-economy