英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

「アメリカファースト」化する米銀

 米銀は欧州企業から資金を引き揚げ始めている。

 JPモルガンやゴールドマン、バンカメなどは、欧州企業向けローンに慎重になり始めている。

 米銀は欧州企業向けの貸し出しを引き下げ始めている。ウォールストリートでは、アメリカ国内に資金を戻した金融危機の再現が取りざたされている。

 米銀は相対取引における欧州の大手企業向け貸し出しや、シンジケートローンに慎重になりつつあるという。

 ドイツでは、JPモルガンがBASF向けのクレジットラインを追加することをめぐって引き揚げを決めた。BASFは言うまでもなく、世界最大級の化学会社である。同様にバンクオブアメリカも、それ以外の6つの国際銀行とともに、アディダス向け融資の引き受けを半減させた。

 ゴールドマンサックスは、フィアットクライスラー向けの35億ドルのシンジケートローンの引き受けに参加しないことを決めた。ドイツのある関係者は、「アメリカファーストの姿勢が米銀の中にみられつつある」と述べた。

 リフィニティブによると、ドイツのシンジケートローンにおける米銀のシェアは3割から14.6%に減少した。いわゆる大規模なホームカントリーバイアスがかかった状態だ。

 この傾向は欧州の規制当局も関心を寄せている。しかし、当局としても、ドイツに貸し出せとは言えない。

 英国においても、JPモルガンが資金を引き揚げ始めている。企業向けシンジケートローンで残るのは、英国の銀行のみとなっている。

 米銀の資金引き揚げにより、欧州において危機時に米銀は信頼できないとの関心が高まっている。ベルリンの政治家がドイツ銀行コメルツ銀行の合併を求めるのも、こうしたナショナルチャンピオンの存在が、危機時に役立つと考えるからだ。

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