曇り。
FTより。マーチン・ウルフ。ヴァイトマン氏がECBに投げかける影。もし彼がオーソドクスなドイツの見解を正しいと考えているのなら、それは災厄でしかないだろう。
ドラギ総裁の後任は誰になるのだろうか。今年、欧州政府にとって、その選択はもっとも重要な決定となる。英国の問題よりも重要であり、トランプ氏とどう取引するかよりも重要である。
次のECB総裁は、2027年の任期までにユーロ圏やEUが存在するかどうか決めなければならない。それはドラギ総裁もそうだったが、次期総裁も同じ任務を負う。
2012年の10月にドラギ氏に私は公開書簡を書いた。そこでECBは公的債務についてのラストリゾートにならなければならないと論じた。そこでのドラギ総裁の選択肢は、金融タカ派を満足させることと、ユーロ圏を救うこととの選択であると論じた。そして、後者を選べと。
ドラギ総裁は正しい行動をとった。しかし、ECbの目標とする2%の物価は到達できなかった。しかしこれはほかの側面からみれば、ECBが成功したともいえる。
ユーロ圏の危機からの回復、とりわけ復活は、ほかでもないECBにかかっている。それは政府の役割を否定するものではない。将来においてもECBの役割は重要であり、国家の政治に分割されたユーロ圏特有の脆弱さを補う。
ドラギ氏は古きブンデスバンクの伝統を持つ組織を近代的な中央銀行に変身させた。問題は、何かが起こっても、それに反応できるだけの知性や柔軟性、勇気を持つことができるかだ。
しかし、後継候補者とされる人々はこうした資質を持つかどうか疑わしい。一番リスクが高いのはブンデスバンク総裁のヴァイトマン氏だ。氏はドラギ氏の提案する多くのイノベーションに反対している。特にQEへ反対している。
https://www.ft.com/content/a47db042-8b92-11e9-a1c1-51bf8f989972