英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

リトアニアからの視点

 それにしても、毎日毎日いろんなニュースが流れてくる。
 この記事はたいへん興味深い。エコノミストより。
 近年、経済学においてもっとも意見の分かれる問題は、バルチック諸国を成功例とみるか否か、ということがある。金融危機がこれらの国を襲った際、ユーロとの為替ペッグを守るため、彼らはIMFの求める、いわゆる財政と名目賃金を調整する政策に従うことを決めた。
 こうした取り組みはギリシャポルトガル、スペインなどの参考になるのだろうか。
 筆者がリトアニアに取材すると、現在この国のリーダーたちは金融危機の経験を喜んで話してくれるのだという。そして、その議論は非常に説得的である。
 第一に、金融危機が起きたとき、バルチック諸国はユーロ化した。銀行システムにおける負債が約9割、ユーロ建てになったのだ。このことで、バルチック諸国は自国通貨を減価せざるを得なくなった。大手銀行が2つつぶれ、小国で開放経済であり続けるには、高インフレを懸念せねばならなかった。
 2つめの問題は、財政緊縮が機能するか否かではなかった。それよりも、欧州の活動的なメンバー諸国であり続けることができるかだった。バルチック諸国は伝統的に、ロシアの影響力から逃れることを求め、西側諸国へ加盟したいという希望が強い。通貨ユーロに参加することは、こうした望みをかなえる大きなステップだった。そして、自国通貨を変動相場にすることは、こうしたユーロ接近の道から離れることを意味する。
 結果的に、エストニアは2011年、ラトビアは2014年、そしてリトアニアは昨年ユーロに加盟した。
 以上の議論はブレキジットにも関連する。
 http://www.economist.com/blogs/freeexchange/2016/04/view-vilnius