英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

中央銀行家のUターン

 雪。

 米国で多くの労働者がストを行っている。その数が増えているのだ。特に教師やそれ以外のメンバーが抗議活動を行えるのは、労働市場が健全な証でもある。

 労働運動が活発化したきっかけは、昨年春に教師による抗議活動が広がったことだ。公立学校の教師らが、給与引き上げと公的教育への予算拡大を求めてストなどを打っている。このストライキは6つの共和党色の強い州で起きている。これらの州では2009年の経済危機以降、公的支出が他の州と比べて大きく落ちているからだ。

 ウェストヴァージニアやオクラホマアリゾナ州などでは、長期のストライキが起きている。

 https://www.wsj.com/articles/number-of-work-stoppages-across-the-u-s-jumped-in-2018-11549641252

 なぜ、中央銀行家は瞬きをするのか。中国の成長減速やブレグジットなどが進行する中、中央銀行家は利上げに二の足を踏んでいる。

 トランプ大統領が火曜日の夜に、全米を覆うこれまでにない経済ブームについて熱く語っていた同じころ、インドやオーストラリア、英国の中央銀行家らは金融政策の引き締め計画から撤退する準備を進めていた。

 豪州の中央銀行総裁は立ち上がって、ダウンサイドリスクが蓄積されていると警告を発した。そして、次の金融政策のアクションは、利上げではなく、利下げの可能性がある、と述べた。

 首相から圧力を受けているインドの中央銀行でも動きがあった。0.25%利下げに踏み切ったのだ。英国も金融政策をUターンさせている。

 昨年1月にスイスのダボスで開かれた会議では、楽観論がふつふつと湧き上がっていた。しかし、その姿は一変した。

 何が変わったのか。アリアンツのチーフ経済アドバイザーのエラリアン氏は、政策当局者の認識は昨年過度に強気すぎた、と話す。

 カギとなる転機だったのは、昨年の第4四半期だった。市場は政治に吹き荒れる嵐に突如目覚たのだ。ただ、米国国内の経済は力強いパフォーマンスを継続させている。賃金上昇率は物価の上昇率を上回っている。しかし、S&P500指数は警告を発している。

 さらに、米中の貿易協議が進展する見通しも潰えている。そのけっか、利上げはしばらくの間、議論のテーブルから外された。もし米中の貿易協議が物別れに終わり、欧州との自動車貿易が敵対的になれば、アメリカはリセッションに追いやられることは必至だろう。

 こうしたFedの雰囲気は他の中央銀行に波及している。

 https://www.ft.com/content/24508f0e-2b91-11e9-88a4-c32129756dd8