英字紙ウォッチング

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ヘルスケア法案撤回

 晴れ。
 トランプ氏とライアン議長にとっては、大きな失点である。
 下院共和党はヘルスケア改革法案を撤回した。党内の反対派がトランプ大統領とライアン議長から譲歩を取り付けた。
 下院共和党はトランプ氏率いる米国政府が再形成しようとしている最初の試みをストップさせた。トランプ氏は長いあいだ約束していたヘルスケア改革法案を葬り去ったのだ。ライアン議長は予定されていた投票のわずか数分前に法案を採決に回すのを取り下げた。共和党内から離反の動きが相次いでいたからだ。
 「私は取り繕うつもりはない。今日は我々にとって失望すべき日だ」とライアン議長はその後述べた。共和党は長いあいだ、2010年にできたヘルスケア法案の廃止を誓ってきた。「われわれは見通せる将来、オバマケアとともに生きていくことになる」とライアン議長は付け加えた。
 これは特筆すべき敗北である。就任初日にオバマケア法案を廃止すると約束していたからだ。この結果、上下両院とホワイトハウスをコントロールしている共和党員たちが、税制改革に踏み切れるのか、疑問符を突きつけた。
 この問いに対し、ライアン議長は「たしかに、今回の結果により税制改革は難しくなったが、不可能ではない」と答えた。
 トランプ大統領にとっても、彼の交渉能力の限界を示した結果となった。ビジネスの世界では通用しても、政治の世界では彼の交渉力はさほどでもない、ということだろう。トランプ氏は民主党の反対を批判し、何かヘルスケアシステムで問題が起きれば責任は民主党にあると批判したが、いつものトランプ節である。
 https://www.wsj.com/articles/gop-postpones-house-vote-on-health-bill-1490384577