英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

トランプ外交の課題

 晴れ。
 2017年はテロで幕を開ける。
 イスタンブールのナイトクラブでテロ攻撃があり、少なくとも35人が殺され、40人がけがを負った。10数台の救急車が駆けつけ、地方政府の幹部が声明を発表した。警察は一帯に至る地域を封鎖した。地方メディアの報道によると、自動ライフル銃を持ち、サンタクロスの格好をした男たちがナイトクラブを襲撃したという。
 http://www.wsj.com/articles/several-wounded-in-new-years-attack-at-istanbul-night-club-1483229410
 当初の暖かな雰囲気が一変し、オバマ氏からトランプ氏への政権移行は緊張感を伴ったものになっている。さまざまな分野の議論において意見がぶつかるに伴い、ホワイトハウスの主の交代は難しいものになっている。近年においてはもっとも難しい政権移行になっている。
 投票日以降、オバマ氏は8年間の大統領任期中でもっとも広範囲な行動をとった。トランプ氏の選択肢を狭めるためだ。また、ホワイトハウスを去る前に最後の演説を行う計画も立てている。そのスピーチはおそらくトランプ氏の就任演説とは対照的な内容になるだろう。
 大統領職を去る最後になって、オバマ氏はロシアをサイバーテロ疑惑で非難し、イスラエルに対しても国連非難決議に何も言わないという形で非難を加えた。
 1月20日に就任するトランプ氏の動きはそれとは対照的である。彼の政権移行チームはイスラエル幹部と国連投票を脱線させ、ソーシャルメディアを使って結果を回避するような方法について話し合いを行った。
 トランプ氏はロシアへの制裁は好ましくないとの姿勢を明らかにしている。そして、モスクワがサイバーテロを行ったという証拠に疑問を投げかけている。プーチン大統領はしばらく静観し、トランプ政権がどのようなスタンスをとるのか、見極めたいとしている。
 過去に政権移行が行われる際は、国家の中核的な問題については摩擦がないのが普通だった。ブッシュ氏からオバマ氏への政権移行はシームレスだった。
 海外においては、混乱が起きているのは明らかだ。ドイツでは、トランプ氏が「米国は核戦力を拡大すべきだ」とツイートしたことについて疑問を投げかけている。
 オバマ氏がこのところ行っていることの動機の一部は、彼の遺産を何とかして守ろうというものだ。
 http://www.wsj.com/articles/transition-from-barack-obama-to-donald-trump-turns-tense-1483140623
 ロシアをパートナーとみなすトランプ氏の外交政策は新たなハードルに直面している。オバマ氏の制裁やそれに共和党幹部が同調していることが、トランプ外交を難しくさせている。
 トランプ氏の外交政策における中心的な公約は、ロシアと共同関係をつくることだ。しかし、トランプ氏は当初描いていたほどフリーハンドを得られるわけではない。
 議会の共和党幹部は、オバマ氏によって行われたロシア制裁を支持している。それは影響力のある上院議員であるジョン・マケイン氏とリンジー・グラハム氏が、それより強い制裁を行うべきだと述べているほどだ。議会ではロシアのハッキング疑惑についてより詳細に調査すべきだと決めている。
 いずれにしても、トランプ新政権が発足すれば、ロシアにどう対処するのか、はっきりした態度を求められることになる。
 ロシアは米国と利益を共有しておらず、実際にも、世界に不安定さをもたらしている、しかし、オバマ政権の行動はやりすぎだ、と共和党ポール・ライアン氏はみている。
 http://www.wsj.com/articles/donald-trumps-plan-to-partner-with-russia-faces-new-bigger-hurdle-1483057733