英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

勝利なき大統領

 ようやく晴れ間が広がる。
 大統領に就任してから10週間が経った。しかし、見込みとおりというべきか。ほとんど勝利を得られないでいる。世論の支持率も低下し、ストラテジストらはホワイトハウスは政権を浮揚させるには政治的な勝利が必要と述べている。
 最高裁長官人事、ヘルスケア法案における議論などで高いポイントを上げた。しかし、それから数時間、数日間を経て、すぐに低いポイントに変わった。旅行禁止例は司法府によってブロックされ、早朝のツイートで盗聴されていたと主張したことは、根拠がないと退けられた。ヘルスケア法案でも話し合いは崩壊した。
 その結果、ギャロップ社による世論調査によると、トランプ氏の支持率はスリップとリバウンドを繰り返している。ヘルスケア法案の失敗により、支持率は35%に低下した。任期初年度の支持率としては史上最低である。
 しかし、トランプ氏は再び土曜日の朝にツイッターに投稿した。相変わらずオバマ前政権が盗聴していたという根拠のない主張を繰り返している。一方でトランプ政権幹部とロシアとの関係についての調査は、否定している。トランプ氏に不利な情報は、すべて「フェイクニュースが嘘を報じている」と主張している。
 来週は上院で最高裁長官の人事が証人される見通しだ。しかし、ホワイトハウスはいま、選挙で約束したことを実現できないでいる。勝利なしには、議会側もトランプ氏に協力するインセンティブを持てない。
 ただ、過去に支持率の低かった大統領も、政権担当期間が長くなるにつれて、支持率が上向いた例もある。典型がビル・クリントン。最初の夏の支持率は37%だったが、それを底に、支持率は上向いていった。
 トランプ氏の公約のうち、実現できた希な例が、最高裁判事のゴーサッチ氏の承認だ。それに加えて、TPPからの離脱と、停滞していた天然ガスパイプラインプロジェクトの承認くらいである。
 NAFTAの再交渉については、戦略をマイナーチェンジする。メキシコ国境に壁を建設する計画は、勝利の戦略を未だ見つけられていない。
 トランプ氏は就任以降、毎週のように論争を引き起こしている。今週はホワイトハウスのナンバー2スタッフが辞任する。スタッフ内の反目が遠因だ。
 https://www.wsj.com/articles/donald-trump-racks-up-few-wins-so-far-1490997606