カーメン・ラインハート氏。ドル高が介入をもたらすのか。
中央銀行は直接、為替市場に介入することはないにせよ、彼らの金融政策は為替市場を目標の一つにしていることがたびたびある。その結果、完全な変動相場制はまれにしか存在しない。
このことはドル高が急速に進行した場合に、米国にとって重要なインプリケーションを持つ。
通貨が減価し、大規模な資本流出が起きる危険性が生じたときに、介入は外貨準備を売却し、通貨の減価を防ぐために使われる。中国人民銀行で進行中の外貨準備の減少は、最近のもっとも重要な例である。米国における、ドル安防止の為替介入は1992年から1995年にまでさかのぼらないと存在しない。
歴史をさかのぼると、ドルのバスケットは2011年7月を底にして、35%以上も増価している。ドル高はトランプ氏の予想もしない勝利によって引き起こされた一面もあるが、日欧の金融緩和が続くのとは対照的に、米国の金融政策が引き締め方向に向かうという事実が反映している。トランプ氏が公約でうたう、米国に製造業を取り戻すという約束にとって最大の障害は、ドル高であろう。
マーケットはドルが過大評価されていると考えているだろうが、もしそうでなければ、プラザ合意が再来するのだろうか。より重要なのは、だれがこうした協調に参加するのだろうか。
ラインハート氏の予想では、もしドル高を止めるのであれば、米国の単独介入になる、というものだ。
https://www.project-syndicate.org/commentary/dollar-strength-and-currency-market-intervention-by-carmen-reinhart-2016-12