Fedはインフレ政策において、分岐点に差し掛かっている。物価が上昇し始めるまでに、失業率がどこまで低下するのか、幹部らは議論を行っている。
大半のFed幹部は、経済は完全雇用に近づいていることで同意する。しかし、合意が得られていないのは、次になにが起こるのか、だ。失業率は5%を下回り、雇用の増加は緩やかになっている。その中で、今週のFOMCで行われるであろう主要な議論は、インフレが進行するリスクをおかすことなしに、どこまで失業率を減らすことができるかだ。
一つの立場は、ブレイナード理事やタルーロ理事らの意見だ。彼女らは、労働市場にはまだ改善の余地があるという。現在、4・9%の失業率は、さらに下がり、労働参加率も増える。
それに対抗する議論は、サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁らの意見だ。彼らは、失業率をあまりに下げると、インフレのリスクを招き、Fedは短期金利をより早く引き上げる必要が出てくると主張している。そうすると、被害を受けるのはマイノリティであると。
過去の例をみると、インフレ率が急上昇したときに、失業率の犠牲なしに、インフレを沈静化することはできなかった。
イエレン議長自身は、こうした両方の議論にシンパシーを寄せている。3月の講演では、注釈をつけて、Fedは完全雇用の水準についての推計について誤っていた可能性があると述べた。幹部らのそれまでの推計では、4・8%だった。しかし、完全雇用の水準はそれより下回っている可能性がある。
そしてもしそうであるなら、より低い失業率がスラック解消や賃金上昇、2%の物価目標への回帰には必要であるとイエレン議長は述べた。
このように意見が委員の間で分かれたままでは、今週の会合では政策を変更しない可能性が高い。
問題は、スイートスポット、つまり、失業率がどの程度まで下がれば、インフレ率が上昇し始めるのか、だ。CBOはいわゆるNAIRUを4・8%であると推計している。これはFedの推計と一致している。
http://www.wsj.com/articles/fed-hits-crossroads-on-inflation-policy-1474228920