英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

ポジティブサプライズ

 朝から雨。
 注目の雇用統計。ポジティブサプライズだった。米国経済が減速しているのではないかという懸念を沈める効果があった。
 6月の新規雇用者数は28・7万人。昨年10月以来の力強い水準であり、5月のネガティブサプライズを打ち消した。
 中身をみると、ほとんどすべてのセクターで雇用が増えた。5月はわずか1万1000人の雇用者数の増加だったが、それを打ち消した。3カ月平均の増加数は145K、6カ月平均は172Kである。
 雇用の増加ペースは昨年冬以来減速している。しかし、はっきりとしたリセッションの兆候となる急速な減少と異なり、雇用の成長が大きく減速しているように見えると分析される。これは経済拡大局面の最終盤でよくみられる現象だとモルガン・スタンレーエコノミストは述べている。
 失業率は上昇して4・9%だった。労働参加率は上昇して62・7%となったが、それが失業率を押し上げている。
 金曜日の株式市場は上昇に転じた。S&Pは過去最高水準に近い高値で取引を終えたが、10年国債金利は引き続き低下し、1・366%だった。
 ポジティブな兆候のうち、賃金はゆっくりとながら上昇した。平均時間給は0・1%の上昇だった。 
 エコノミストのコンセンサスでは、毎月14・5万人の新規雇用があれば、労働力に入ってくる新たな労働者を9州できる。イエレン議長によれば、その数は10万人で十分だという。
 今回の雇用統計の結果、Fedの9月利上げの可能性が高まってきた。だが、Fed内は極端に保守的なムードにあるとみる見方もある。ブレグジットなどのショックがこの間、何度も繰り返されているからだ。
 http://www.wsj.com/articles/u-s-added-287-000-jobs-in-june-1467981259
 Hilsenrath記者。7月利上げの可能性は低いは9月利上げはありうると読む。
 平均してみると、6月の結果はよかったが、雇用増加ペースは減速している。しかし、減速は幹部らが恐れるほどシビアではない。
 Fedにとってみれば、イエレン議長が先月問いかけたいくつかの疑問を解くのに役立つ。その問いとは、4月と5月の雇用減速はより幅広い経済の持続的な減速の兆候なのか。あるいは、昨年や今年はじめに見せたような堅調な回復ペースを雇用は回復するのか、というものだ。
 答えはその間のどこかにある。
 年率の賃金上昇率が2%近い水準から持ち上がっているのは良い兆候である。労働市場のスラックが徐々に消えつつあることを示している。
 総じてみると、6月の雇用統計は9月利上げの可能性を引き上げたが、幹部らは依然として待ちの姿勢を続けている。7月は見送るだろう。
 http://www.wsj.com/articles/hilsenrath-analysis-june-jobs-report-raises-chances-of-fed-rate-increase-in-september-1467985156?tesla=y
 雇用統計絡みでCEPRのディーン・ベイカー。ベライゾンのリストラを考慮しても強い数字だった。幅広いセクターで雇用増加の動きが続き、平均時間給も昨年同時期に比べて2・6%上昇した。
 人口的にみると、10代の黒人の失業率が31%と高い。
 教育水準ごとの雇用パターンも興味不快。過去1年間、大学卒の失業率は変わっていない。それに対し高卒のそれは0・4%ポイント低下した。このことは今回の雇用者増加はスキル労働者の増加を必ずしも意味していないことを示している。
 http://cepr.net/data-bytes/jobs-bytes/jobs-2016-07