英字紙ウォッチング

英語メディアの経済、政治記事を定点観測

「6月利上げ」後退

 快晴。気持ちの良い朝である。
 昨夜の雇用統計は事前予想を下回る、弱い数字だった。新規雇用者数の増加幅は16万人だった。昨年9月以降ではもっとも弱い水準だ。失業率は変わらず5パーセント。しかし、労働参加率は低下した。
 今年に限っていうと、1ヶ月あたりの平均雇用者数の増加幅は19万2000人である。2015年の平均は22万9000人だったので、増加ペースは鈍化した。失業率も5パーセントの水準で止まっている。
 一方賃金上昇率は手堅い上昇を示している。それによって個人消費を今後数ヶ月、力強く下支えすることになるだろう。しかし、消費動向はインフレ率を2パーセントに押し上げるほど強くはない。
 今回の雇用統計を受け、ゴールドマンサックスやバンクオブアメリカなどのエコノミストは6月利上げの見通しを後退させた。バンクオブアメリカに至っては今年9月の利上げ1回のみと予想している。
 企業経営者の中からは「顧客は神経質になっている」という声があがる。これは昨年の雰囲気とは対照的である。
 民間部門の平均時間給は4月に0・3パーセント上昇した。今年に入ってから通算すると、2・5パーセントの上昇だ。しかし、この上昇幅はリセッション前のレベルには到達していない。
 http://www.wsj.com/articles/u-s-payroll-gains-slow-in-april-adding-160-000-jobs-1462537988
 Hilsenrath記者。6月利上げの可能性が後退した、と指摘している。第1四半期のGDP成長率が弱めの数字が出た後、Fed幹部は、もし経済の回復ペースが戻るようだと、6月利上げはありうると警告を発していた。しかし、雇用の回復が弱く、こうした議論の前提が消え去った。
 雇用統計の発表前、ダラス連銀のカプラン総裁は、もし経済統計が改善していれば、6月ないしは7月利上げを支持する、と述べた。セントルイス連銀のブラード総裁も、6月利上げに「オープンだ」と述べた。
 http://www.wsj.com/articles/hilsenrath-jobs-report-makes-june-rate-rise-less-likely-1462540192?tesla=y